【海外試乗】「フェラーリ・ローマ」跳ね馬の最新2+2クーペが発進!

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昨年11月に発表されたフェラーリ・ローマの優雅なデザインとプロポーションは、1960年代のGTカーを彷彿とさせる。コンセプトは“La Nuova Dolce Vita(新・甘い生活)”。フェラーリがジェントルマン・ドライバーに向けて提案するまったく新しい2+2クーペを、お膝元のモデナ周辺で走らせた。

ドライバーの気分次第で表情を一変させる

全長4.66m、全幅1.97m、ロングノーズ・ショートデッキの古典的なクーペのプロポーションを持つローマだが、実車を目の前にすると、ボディカラーと同色のフロントグリルやシャープなマトリックスLEDヘッドライトなど、現代的に洗練されたエレメントがとても印象的に映る。そして、全高わずか1.30mのキャビンに収まると、そこには一気に未来的なHMI(ヒューマン・インターフェイス)が広がっていた。

前後重量配分は50:50。ベースはポルトフィーノとなるが、全体の70%が新設計という。テールエンドには可動式のスポイラーが備わる。

まず目に飛び込んでくるのは16インチの曲面HDバーチャルスクリーンで、ここを通じて様々な情報を呼び出すことができる。ただし、イエローの背景にプランシングホースがアレンジされたタコメーターが消滅したのは残念でならない。また、マルチファンクションステアリングはF1パイロットになったようで気分が高揚するが、すべての操作機能を理解するには少々時間を要する。カーボンと最高級レザーで覆われたキャビンでさらに驚くのは、ドライバーとコドライバーをふたつのコクーン状に完全分割したシートレイアウト。助手席正面には、タッチ操作が可能な専用モニターが用意されているほどだ。

フロントミッドシップに搭載される3.9L V8ツインターボは620psと760Nmを発生。8速DCTを介しての0→100km/h加速は3.4秒、最高速度は320km/h。

ステアリング下部にあるスタート/ストップセンサーをタッチしすると、即座にV8エンジンが目覚める。そしてセンターコンソールにあるシフトセンサーでDレンジを選択、マネッティーノのダイヤルをコンフォートにセットしてスロットルを踏み込むと、自重1570kgの2+2クーペは紳士的ながら力強い加速を開始する。

前席はツインコクピットとして運転席と助手席を完全に独立化。

フロントミッドシップ、すなわち重心をフロントアクスルより後方にマウントしたV8エンジンは開発コードF154系で、これまで多くのモデルに搭載されてきた。しかし、ローマでは前号で紹介したPHEVスーパースポーツ、SF90のそれと同レベルのアップデートが行われており、排気量は3855ccへと拡大、ターボチャージャーを含む吸排気系の改善により最高出力は620ps、最大トルクは760Nmを発生させる。トランスミッションは新たに8速となったDCTで、0→100km/hは3.4秒、200km/hまでは9.2秒、最高速度は320km/hとアナウンスされる。

ドライバー正面に16インチHDスクリーン、助手席前にもタッチスクリーンが据えられる。

コンフォートモードではスロットル、ステアリング、ブレーキなどすべての操作系、そして躾のいいシャシーが快適なドライブフィールを提供してくれ、いたずらに前車を追い越そうなどという気すら起こさせない。高品質な室内の仕立ても、ドライバーを“甘い生活”へと誘う。

2+2とはいえ後席空間はミニマム。現実的には手荷物やジャケットを放り込むスペースとなるだろう。なお、トランク容量は272L。

ところが、レースを選択すると一転、ローマはフェラーリの本性を現し、サーキットでのクラブスポーツ走行を可能にするほどのポテンシャルを発揮してみせる。まさにジキルとハイドの両面を併せ持つスーパーGTだ。
とはいえ、サーキットでのスリリングなスポーツ走行よりも、あくまでデイリーユース、あるいはグランドツーリングに身を寄せたローマには、最新のドライバーアシストも充実。フェラーリ・ジャパンはベースモデルに2682万円のプライスタグをつけた。メルセデスAMG GTやアストン・マーティンDB11、ベントレー・コンチネンタルGT、ポルシェ・パナメーラターボなどの強者がひしめくカテゴリーで、ブランド力では群を抜くフェラーリの勝算はどう計られているのだろうか。

リポート=キムラ・オフィス/Kimura Office ルボラン2020年11月号より転載

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2020/10/11 12:00

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