アイスとスノー性能だけでなくドライ路面の高い安定性も魅力
日本ミシュランタイヤは、優れたアイス性能と雪上性能を両立させた新スタッドレスタイヤ「X-ICE SNOW(ミシュラン エックスアイス スノー)」シリーズを、8月11日より順次発売すると発表した。サイズは14インチから22インチの計84サイズで、価格はオープンとなる。
2004年に登場したミシュランのX-ICEシリーズは、その後X-ICE XI2、X-ICE XI3、X-ICE3+と進化してきたが、今回の新スタッドレスはX-ICE4ではなくX-ICE SNOWとネーミングも新たになった。
これはアイス性能に加えてスノー(雪上)性能が大きく進化したことがその理由だという。
コンパウンドにおいては、新開発の「EverWinterGripコンパウンド(エバー・ウインター・グリップ・コンパウンド)」を採用。剛性の高いポリマーベースの材質をコンパウンドに配合し、ベースコンパウンドとの摩耗差により微小な凹凸を生成することでエッジ効果と水膜を破って接地するアイスグリップ性能を高めた。これは雪上では雪踏み効果を発揮するとともに、摩耗しても接地面の凹凸は再生され続けるため高い性能を持続。さらにこのコンパウンドを溝底部まで採用することで、スタッドレスの使用限界末期(50%摩耗)になってもトレッドブロックがしなやかさを保ち、アイス性能が長期間継続するとのことだ。
またトレッドパターンについては、新世代の「Vシェイプトレッドパターン」を採用。サイプの長さを従来品より28%増加することで、エッジ効果を強化しつつ、アイスグリップ性能に貢献しながら増加したボイドレシオが、シャーベット路面やウェット路面で効率よく雪や水を排出し、安定したグリップを発揮するという。
サイプに関しても、倒れこみを防止することで接地面を確保してアイスグリップを発揮しながら、厚みのあるサイプが雪上にしっかり食い込み雪踏み効果を発揮する「VTSサイプ」に加え、3Dサイプによる倒れこみの防止により剛性を確保し、あらゆる路面で安定したハンドリングを実現。接地面効果を最大化するとともにアイス路面の水膜を除去し、アイスグリップに貢献する「NewクロスZサイプ」のふたつの技術が盛り込まれている。
これらの技術により、X-ICE SNOWはX-ICE3+と比較してアイスブレーキング性能が9%、雪上ブレーキング性能は向上したという。
オンライン形式で行われた発表会では、冒頭で代表取締役社長のポール・ペリニオ氏が登壇し、今回の新スタッドレスについて「冬季における使用環境とユーザーニーズを徹底的に分析し、多くの人々がどんな路面環境でもより安全に移動できるよう、多機能、かつそれぞれの機能が高いレベルで発揮できるスタッドレスタイヤを開発しました」と自信を述べた。
続いて乗用車・商用車タイヤ事業部 マーケティング部 ブランド戦略マネージャーの黒谷繁希氏が開発の背景や搭載技術をプレゼンテーションし、さらに製品開発本部 新製品開発部 シニアエンジニアの池田 聡氏が開発ヒストリーを紹介したが、注目だったのは開発ヒストリーだ。池田氏によると、3Dプリンターでタイヤ表面を模してメカニズムの解析を行い、凹凸のパラメーター(形状、幅、深さ)を予想し、約30種類のパターンを試作。これによりどのようなメカニズムでウインター性能に効果があるのかが判明し、ウインター 性能に最適な形状を特定できたという。
最後には自動車研究家の山本シンヤ氏が登壇、今年2月に士別でX-ICE SNOWを試した感想を語ったが、「アイス性能とスノー性能の向上はもちろんだが、ドライの高速道路では応答性がよく、言われなければスタッドレスタイヤと気づかないくらいの安定性がある。まさにトータルパフォーマンスに優れたタイヤ」とコメントしているのが印象的であった。
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