ポルシェ、長年のパートナーであるミシュランとともに「カレラGT」用新タイヤを開発。より正確なフィーリングを実現している
伝説の「カレラGT」の生産終了から約20年、ポルシェはミシュランとのコラボレーションにより、スーパースポーツカー用の新しい超高性能タイヤを発表するという。最新のタイヤテクノロジーを駆使し、高性能タイヤのラバーコンパウンドと構造を最適化することで、ウェットコンディションとドライコンディションの両方で性能を向上させた一本だ。
開発ドライバーであり、ポルシェのブランドアンバサダーでもあるイェルク・ベルクマイスター氏は、すでに新しい「ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2」をテストした。「この新しいタイヤが、この伝説的なマシンのパフォーマンスをまったく新しいレベルに引き上げてくれたことを、うれしく思います」と、元ポルシェのワークスドライバーは語っている。
カレラGTの2度目のタイヤアップデート
2003年にデビューしたポルシェ カレラGTは、市販車最速の1台だった。ポルシェは当初、「ル・マン24時間レース」用に自然吸気V10エンジンを開発したが、カレラGTでは排気量を5.5Lから5.7Lに拡大。出力は450kW(612PS)で、わずか1,380kgの車重を支えていた。最大トルクは590Nmで、カレラGTの最高速度は330km/h。0-100km/h加速は3.9秒だった。
このスーパースポーツカーには、当初から特注のミシュランタイヤ(当初は『パイロットスポーツPS2』)が装着されていた。2013年に最初のアップデートが行われ、「パイロット・スーパースポーツ・タイヤ」が登場した。この新しいタイヤの最初のイテレーションには、N0マークが付けられるという。
【写真6枚】’03-’06年にかけて1,270台が製造されたスーパースポーツカー「カレラGT」
妥協のないタイヤ開発
「20年前のクルマに新しいタイヤを開発するというのは、非常に珍しいことです」とは、ベルクマイスター氏だ。「カレラGTとそのカスタマーが、今日までポルシェにとっていかに重要な存在であったかを物語っています」と語る。
ベルクマイスター氏が携わった新タイヤ開発の目的は、ウェット路面とドライ路面の両方で、スーパースポーツカーのドライビングダイナミクスと安全性をさらに向上させることだった。これを実現するために、トレッドには2種類のゴムコンパウンド(バイコンパウンド技術)が使用されている。
ミシュランでポルシェのスポーツカー用タイヤを担当する開発エンジニアのマシュー・グレコ氏は「ウェットグリップに最適なコンパウンドを得るために、インナーショルダーとインナートレッドブロックにケイ酸を使用しています」と説明する。
「タイヤの外側ショルダーと外側トレッドブロックのコンパウンドは、ドライグリップ用に設計されています。ここで最も重要な成分のひとつがカーボンブラックなのです」。さらに、コンタクトパッチは、ドライビングダイナミクスとハンドリングの徹底的なテストによってさらに最適化された。その目的は、高性能スポーツカーであるカレラGTに最適なタイヤを作ることだった。
その結果について、ベルクマイスター氏は「エンジニアたちが上限でのフィードバックを改善したことに感銘を受けました。タイヤがグリップを失い始めるポイントを、より明確に感じることができるんです」と熱く語った。
クラシックカーはより速く、より安全に
バランスが改善されたことでドライビング・ダイナミクスが大幅に向上し、サーキットでのラップタイムがさらに速くなった。ベルクマイスター氏はさらにこう説明する。「新しいタイヤはカレラGTを速くするだけでなく、スピードに乗った状態でのドライビングを容易にします。
これは、タイヤ開発が常に前進していることを示しています。特にモータースポーツは、タイヤ技術の進歩がそのまま市販タイヤに反映される開発プラットフォームなのです。この技術移転が、パフォーマンスを大きく向上させるんです」
新開発のミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2は、上限域でのフィードバックの向上に加えて、カレラGTの急制動時の停止速度の向上も実現している。100km/hから停止までの制動距離は2.5m短くなりました。200 km/hでは、スーパースポーツカーは12mも早く停止します。「クルマ専用に開発されたタイヤは常に有利です。性能だけでなく、ドライビングの安全性においても。このことを示すデータは印象的です」とベルクマイスターは締めくくった。
カレラGT用の新しいミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2タイヤは、ミシュラン、ポルシェ・クラシック、ヴァイザッハのポルシェ開発センターの緊密な協力により開発されたものだ。注文はポルシェクラシックパートナーまたはポルシェ正規販売店で可能だ。
</pミシュランでポルシェのスポーツカー用タイヤを担当する開発エンジニアのマシュー・グレコ氏は「ウェットグリップに最適なコンパウンドを得るために、インナーショルダーとインナートレッドブロックにケイ酸を使用しています」と説明する。<>