欧州ではスポーツ用電動自転車が人気
トヨタがプリウスで実用化への道筋をつけてから四半世紀。自動車の電動化の流れは、全世界のメーカーがEV、PHVを怒涛の勢いでラインナップし、環境性能とドライビングプレジャーを両立した持続可能性のある自動車のあるべき姿として注目されている事は皆さんもご存知の通りでしょう。
実はこの乗り物の電動化は、自動車に止まる話ではなく、自転車、船舶、モーターサイクル、飛行機とありとあらゆる乗り物が自動車に続く形で電動化へと舵を切っています。切り始めたというより既に完全に切ったと言って良いでしょう。
例えば、ホンダとヤマハは長年に渡るライバル関係を経て、先行投資の嵩む電動スクータージャンルでは普及に向けた協働を宣言していますし、本来この7月に開催される予定だった東京オリンピックに合わせて東京と伊豆諸島を結ぶ東海汽船の航路に就航する客船フェリーは電動ハイブリッド船舶を採用しています。
自転車の世界では、ヤマハ、パナソニックが市場を席巻する電動アシスト軽快車の普及はご存知と思いますが、スポーツ用の自転車でも今、変速機の登場以来の革命と呼ばれている出来事が世界を席巻しています。それがスポーツ用電動アシスト自転車、通称e-bike。
欧州で昨年213万台を出荷(国内コンポーネントメーカーの調べ)したというe-bikeですが、人口5億人程のヨーロッパ全域で単なる趣味の乗り物に過ぎないe-bikeが213万台出荷されているという現実は、遠く離れた日本にはあまり伝わって来ませんが、サイクリングの本場ヨーロッパでは、もうe-bikeが完全に人力のスポーツサイクルを凌駕して市場の中心になっています。
どうしてそんなにe-bikeが大ヒットしたのかというと、理由は様々ですが、一番大きな理由は今までは「スポーツ」としての要素が強かったサイクリングが、電動アシスト化によって誰でも快適に楽しめる「アクティビティ」としての部分が大きくなったという事が言えるでしょう。
例えば、標高差で300m程のちょっとした郊外の山を登るのでも人力ではスポーツとして取り組んでいる人以外には大変な苦労ですが、e-bikeならば散歩より少し運動強度が強く、ジョギングよりは楽程度のフィットネスレベルで急な坂道を取り入れたサイクリングを楽しむ事が出来ます。サイクリングはもちろん平坦な道でも楽しめるものですが、ヨーロッパでも平坦な道は交通量が多く、車の少ない道を選ぼうと思ったら山の中という事になりますし、山岳地帯の多い日本ではその傾向は更に強まります。自然でリラックスした環境を好む欧州の人々とe-bikeでのアクティビティが合致したため大ヒットしたと言えるでしょう。
ボルボのエステートにはバイクがよく似合う
そんなe-bikeのある電動6ホイールライフをご紹介と言う事で今回用意したのは、全車電動化のマニフェストを掲げて自動車の電動化革命を推し進めるボルボのプラグインハイブリッド車、V60 T8ツインエンジンと、世界を代表するスポーツサイクルブランド、スペシャライズドがこの春日本に導入したe-bike。これに乗って、東京都心から40分で到着する房総半島を目指しました。
普段自動車に乗っていると千葉と聞くと、あまり山のない平らな所というイメージが強いかもしれませんが、海底堆積物が隆起し、それらが万年単位の風雨による浸食で削られて出来た房総半島は、300m程度の低山が縦横無尽にありながら外洋が真横にあるという世界的にも稀な地形。チバニアンで知られる堆積層が普通にサイクリングしていて間近に見られる東京都心から一番近い大自然とも言えます。
世界でe-bikeという乗り物が本格的に普及し始めて、およそ10年程の歴史の中でスペシャライズドはそのごく初期から製品をラインナップして来たリーディングブランドのひとつですが、日本にe-bikeを投入したのはこの春で、トレック、ジャイアント、メリダと言ったライバルブランド達が一足先に日本に上陸していたのに対して少し遅れての発売となりました。
というのも、e-bikeには、人力でのペダリングトルクを感知して即座にモーターでアシストするドライブユニットという機構がその最重要部品となっているのですが、他ブランドは、ボッシュやシマノと言ったドライブユニットメーカー製のユニットを搭載しているのに対して、スペシャライズドは自社開発したものを長らく搭載しています。
この春に、超軽量e-bikeを実現するために開発したSpecialized SL 1.1ユニットを搭載したSLシリーズを世界同時発表し、そのモデルが日本に入って来たという流れなのです。今回用意したのはロードバイクタイプのe-bike、S-Works Turbo Creo SLと、フィットネスや通勤に適したフラットハンドルバーを持つTurbo Vado SL 4.0。
SLシリーズが他ブランドのe-bikeと違うのは、e-bike化による重量増は一般的なモデルでおよそ7kg程度になる所と、ユニット、バッテリー、そしてバッテリーシステムをフレームに完全内蔵した軽量設計などにより4.5kg程度に抑えている所が特徴です。これによって、自転車本来の走る、曲がる、止まるの基本性能をスポイルせずに走る楽しさを追求したモデルになっていると言えるでしょう。端的に言えば、アシストがない状態、例えば下り坂やオフにした状態で走っても、e-bike特有の残念感がないという事です。スポーツカーの場合もそうですが、自転車に於いても軽さは正義なのは間違いありません。
軽量化を実現するために、バッテリー容量はライバルのボッシュやシマノ製の主力モデルと比べて4割程少ない320WhとなっているのがスペシャライズドTurbo SLシリーズの特徴ですが、この状態でも一般的な使い方なら実際の航続距離で80km程度の走行が可能。更にスペシャライズドの特徴として、別売の小型バッテリー「レンジエクステンダー」を搭載する事で、航続距離を50パーセント程伸ばす事が出来ます。80kmの航続距離というと、午後に乗り始めて乗るのには十分な距離。普段使いには軽量な状態で、長距離を乗る日にはサブバッテリーを積んで行くというスタイルは、カルフォルニア生まれのメーカーらしいスマートで合理的な考え方です。
ポストコロナウイルス時代のアクティビティとして
さて、実際の房総半島の山道をTurbo Creo SLとVado SLで走るとどうなるか? 先ほど、スペシャライズドのモーターはライバルと比べてトルクが細いと書きましたが、実はライバルメーカーは欧米で盛んなマウンテンバイク用途を主目的に置いたユニットしかラインナップしておらず、日本の舗装路を走っている限りはSLユニットのトルクでも十分以上のアシスト力。独自ユニットなので、日本の法規制(最高24km/hまでアシスト可能)に合わせてギリギリまでアシストする制御となっており、10%から15%程度の勾配の坂道をものともせずに笑顔で喋りながら登って行けます。一方で下りでは車体が軽いので、スペシャライズドのスポーツサイクルならではのハンドリングや軽快感を誰でも味わいながら走れます。
ちなみに、国内のスポーツサイクル市場では、オンロードを走るための自転車であるロードバイクが過半数を占めているため、その主要ブランドのスペシャライズドが投入したS-Works Turbo Creo SLには、既存のサイクリストからも非常に大きな注目が集まっていますが、例えばボルボで言えばポールスターに当たる、よりスポーツ志向の強いS-WorksモデルであるこのS-Works Turbo Creo SLには、レーシングモデルレベルのカーボンホイールや、ブレーキ、変速機などが装備されており、市販価格で148万5000円と思わず唸ってしまう値段となっています。アシスト無しでの速度域でのロードバイクとしての性能を追求するならばこの仕様が求められますが、ゆっくりと自然の中を快適に走りたいと言う用途ならば、Creo SLと同じユニットが装着されたVado SLでも登り坂の楽さ、アクティビティとしてのe-bikeの楽しさはほぼ変わりません。故に、これからサイクリングを始めてみたいという人にはVado SLが、昔、もしくは現在、ロードバイクに乗っていて高級な自転車のライドクオリティの良さは十分知り尽くしているという舌の肥えたユーザーならばS-Works Turbo Creo SLがおすすめという事になるでしょう。
ポストコロナウイルス時代のアクティビティとしてサイクリングが非常に高い注目を集めていますが、大都市圏に近い平坦な道はどこに行っても自動車とトラックが多いのが事実。一方で、e-bikeと自動車を組み合わせれば、都市部から数十分走った所で自動車からe-bikeに乗り換えて、交通量は事実上ゼロのリラックスした環境で大自然を感じながらフィットネスと日々のストレスからのリセットが出来ます。これこそが新しい時代のスマートなアクティビティと言えるのではないでしょうか?
ちなみに、今回の2+4ホイールの相棒であるボルボV60 T8 Twin Engine AWD Inscriptionですが、実は自動車ファンの間では余り知られていない事ですが、古くからのサイクリストの間ではボルボのエステートは憧れの対象。というのも遡る事1990年代中盤に世界を席巻した自転車レーシングチームのタイトルスポンサーはボルボで、スポーティでありながら同時に何かの目的のための移動時間を快適かつ洗練された時間として過ごすための走りの作り込みや、ライバルよりも少し広めに作られた荷物の積みやすいラゲッジスペースなどサイクリストのクルマとして最適なのがボルボのステーションワゴンと言えます。
SUV全盛の今であっても、4人で出かけるとなるとトランクに2台、ルーフマウントで2台と言った積載方法が考えられますが、そんな時も積み下ろししやすく、同時に積載時の全高が高くなり過ぎないステーションワゴンはサイクリング用途には最適な乗り物。
その中で、このV60 T8 Twin Engine AWD Inscriptionは、318psのスーパーチャージャーとターボを組み合わせた2リッターエンジンとフロント46ps、リア87psを発生するツインモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドの旗艦モデル。WLTCモードで48.2kmの航続距離を実現したEV走行モードがあるため、ほとんど化石燃料を燃やす事なく都市内での日常を過ごし、それでいて長距離のドライブでは抜群のスポーツ性能を発揮出来ます。
およそ2トンの車重をものとも感じさせずにフワリと加速させるEV走行時の走行感や、エンジンとモーターが協調しながら前輪を駆動しつつ、リアモーターがそれをアシストするハイブリッド走行時の走行感は今までにない新しい時代のスポーツ性能のあり方を感じさせられます。
時代の一歩先を行く、日本での自動車とe-bikeを組み合わせたアクティビティ。そこに更に、プラグインハイブリッドの、しかもボルボと来れば、近未来のライフスタイルとしての完成形を今体現したものではないでしょうか。
【Specification】ボルボV60 T8ツインエンジンAWDインスクリプション
■全長×全幅×全高=4760×1850×1435mm
■ホイールベース=2780mm
■車両重量=2050kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ+SC
■内径×行径=82.0×93.2mm
■総排気量=1968cc
■圧縮比=10.3
■最高出力=318ps(233kw)/6000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/2200-5400rpm
■モーター種類=交流同期電動機
■モーター最高出力=34kW/2500rpm(前)65kW/7500rpm(後)
■モーター最大トルク=160Nm/0-2500rpm(前)240Nm/0-3000rpm(後)
■駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
■燃料タンク容量=60L(プレミアム)
■トランスミッショッン形式=8速AT
■燃費=(WLTC)13.7km/L
■サスペンション形式=前Wウィッシュボーン/コイル、後インテグラルリンク/コイル
■ブレーキ=前後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前235/45R18、後235/45R18
■車両本体価格(税込)=8,490,000円
問い合わせ先
ボルボ・カー・ジャパン https://www.volvocars.com/jp
【Specification】スペシャライズドTurbo Vado SL 4.0
価格:330,000円(税別)
カラー:Crimson Red Tint / Black Reflective、Abalone / Black Reflective、Satin Neary Black / Black Reflective
サイズ:S、M、L
https://www.specialized.com/jp/ja/turbo-vado-sl
【Specification】スペシャライズドTurbo Creo SL
価格:1,350,000円(税別)
カラー:GLOSS SUPERNOVA CHAMELEON / RAW CARBON
サイズ:S、M、L
https://www.specialized.com/jp/ja/turbo-creo-sl
問い合わせ先
スペシャライズド https://www.specialized.com/jp/ja
■関連記事
- 「ボルボS90」、2024年度「オートエクスプレス中古車アワード」で最優秀エグゼクティブカーに輝く
- 【ロングドライブ】ボルボのBEV「EX30」で京都から都内までロングツーリング「ボルボ EX30 ロングドライブ」
関連記事
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>