1983年に初登場したジウジアーロ・デザインとのコラボレーションモデルは、クルマのデザインを多く手掛ける、ジウジアーロ氏ならではの視点で、「四輪車・二輪車のドライバーの腕によく似合うウオッチ」をコンセプトに開発。発売35周年を記念し、オリジナルのデザインを可能な限り再現しつつ、スペックアップしたデザイン復刻モデルが登場した!
※この記事はル・ボラン2019年2月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
セイコー/ セイコー セレクション ジウジアーロ・デザイン
クルマと時計の蜜月の証明として、歴代数多くのコラボレーション時計が誕生してきた。自動車メーカーやモータースポーツとのWネーム始め、クルマの先進技術や素材のフィードバックや、疾走感をデザインに取り入れたものなど多彩な魅力は人気カテゴリーになるほど。その先駆となったのが、1983年に発売されたセイコーとジウジアーロ・デザインのコラボレーションモデルだ。
「ドライバーやライダーのためにジウジアーロが提案」というキャッチフレーズの下、登場した4型のモデルは、いずれも画期的なアイディアと独創的なデザインが見事に融合していた。ケースを中心からオフセットしたり、ボタンをケース側面から突起した部分の上下に設置することで、グローブを着けた指先でも操作しやすくする。あるいはシートベルトの発想から、手首だけでなく、バイクのハンドルにも装着できるように長さが自在に調節できるストラップの採用など、ただ見た目の斬新さを追うだけでなく、ジウジアーロがカーデザインで蓄積してきた人間工学的研究が応用されていたのだ。
35周年に当たる今年復刻されたのは、その中でもとくに人気の高かったモデルだ。ハンドルを握った状態での視認性を考慮し、文字盤を約25度右に傾け、さらに前面をドーム状の曲面ガラスで覆い、反射像をなくし、斜め方向からの読み取りもしやすい。さらにクロノグラフなど表示の切り替えは、ベゼルの回転で容易にできるという機能も併せ持つ。
高い人気に応え、これまでも2000 年に一度復刻されたが、当時は既存ムーブメントを搭載したため、オリジネルとはやや異なり、ケース径も大きく、厚みもあった。それに対し、今回はムーブメントから新たに設計し、初代を忠実に再現した。比べてみればその違いは歴然。引き締まったスタイルは、ジウジアーロが目指しただろう理想的な姿が再び甦ったのである。
35年の時を経ても新鮮さが薄れないばかりか、現代の時計にはないオリジナリティとチャレンジスピリッツが伝わってくる。これもデザインの妙だろう。ジウジアーロが手がけてきた数々の名車と同様に。デザインというと、つねに新しさを求め、使い捨てにしてきた感がある。だが優れたデザインをただ消費し、埋もれさせるにはもったいない。クルマも時計も近年のヴィンテージブームの理由の一端もそこにあるのかもしれない。
●問い合わせ先=::セイコーウオッチ株式会社/TEL:0120-612-911 https://www.seikowatches.com/jp-ja
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