カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!? 』。今回は100万円オーバーですが、ぜひ紹介したい3台の役付きルノーを取り上げます。100ドロ以上に危険(?)な役付き物件でドロ沼に陥る、題して”役ドロ”の開幕です。
2001 RENAULT CLIO CUP/2009 RENAULT MEGANE R26.R/2001 RENAULT LUTECIA R.S.
現在のルノースポール(R.S.)と言えばルノーの高性能モデルの代名詞だが、始まりはご存知の通りモータースポーツ用車両の開発やレース運営だった。そのノウハウを生かして、1990年代に初めて手掛けたロードカーがスポールスピダーであり、次にルーテシアR.S.が登場し現在へ続く。ここではルノー・スポール謹製の3モデルを取り上げたい。販売するのはフランス車の販売や整備、そしてチューニングを得意とするジェイ・エンジンだ。
まずは、2代目ルーテシアをベースとしたカップカーから。こちらはワンメイク車両とあって市販モデルとは一線を画す。当然、サーキットユースがメインで車検はなし。ロールケージはボディに溶接され、クロスした斜行バーはまるで乗るモノの覚悟を試すかの様だ。「これを跨ぐ勇気はあるのか?」と。シートは運転席のみで徹底した軽量化により遮音材や内装材も一切なし。さらにエアコンもなければ、ハンドブレーキまでもない。エンジンはルーテシアR.S.に準じるが、軽量化の恩恵は絶大で走り出した瞬間に全く別物であることがわかる。トランスミッションは憧れ(?)の6速シーケンシャルで、躊躇しようものなら容赦なくエンジンはストールするが、慣れてしまえばシフトチェンジが快感になるはずだ。ルノー・スポール元来の魅力を体感したいならカップカーで決まり。
とはいえ、公道を走行できないレーシングカーは持て余す、という方にはメガーヌR26.Rをお勧めしたい。当時のニュルブルクリンクにおいて、市販車FF最速となる8分16秒をマークした450台の限定モデルだ。そんなスペシャルモデルながら、カップカーとは違い助手席にシートが備わり、ナンバー付きでエアコンの利きもバッチリ。トランスミッションはHパターンで、低速トルクも十分。意外なほどフツーに走らせることが出来る。速さの秘訣は軽量化で、リアシートは取り去られ、ボンネットはカーボンに。クオーターライトとリアウインドーをポリカーボネイトにすることで、ベースとなったメガーヌF1チームR26比で123kgも軽い。
よりマイルドで後席も使えるモデル(といっても切れ味の鋭さは本誌でも幾度となく紹介したとおり)をお探しなら、ルーテシアR.S.を加えたい。スピダーが先にリリースされたがルノー・スポール初の”市販車ベース”モデルであり、この成功があったからこそ現在のR.Sシリーズがあるのだ。
エンジンパワーを上げて速さを追求する方法ではなく、軽量化という王道メニュー。そしてなによりもレースで培ったノウハウを惜しみなく注がれた点がR.S.モデルの魅力であることは間違いない。電子デバイスに頼らず、適度な緊張感を持ってクルマとの対話を楽しむ。そんな付き合い方で、役モノ・ルノーの魅力に取りつかれてドロ沼へ陥るのも悪くない。
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