精緻な雰囲気の中に、そこはかとなく宿るアウディRS3の狂気を引き立ててくれるのがアドバン・レーシングRZ-DF2だ。ブランドとして初の鍛造製法を採用したRZ-DFを受け継ぐモデルであり、性能を追求した者だけが持つ美しさを放つ。
フロントをワイドにしたアウディの哲学を継承する
既存の常識にとらわれずにAWDスポーツの理想像を追求する。アウディRS3とはそんなクルマだ。2.5L直列5気筒ターボという稀有なパワーユニットを大切に育て続け、RSトルクスプリッターを含めた先進的なクワトロシステムをもって、物理的なフロントヘビーと向き合う。
もっと個性的なのは足まわり。フロントのトレッド幅をリアに比べて45mmも広く取り、その上で前後で異なるサイズのタイヤ&ホイールを投入した。フロントの9.5J(265/30ZR19)に対して、リアは8.5J(245/35ZR19)と、フロントのほうがワイドで低扁平である。リアのほうが太い設計手法ならよく見かけるが、これはフロントのトラクションを稼ぐための逆転の発想で、アウディが掲げる「技術による先進」の象徴的メカニズムだと思う。
だが、それはアウディよりも先にサードパーティから自然発生的に出てきたチューニングセオリーでもある。25年以上もVW/アウディ系チューナーとして活動するイシカワエンジニアリングは、ゴルフR、GTIなどに代表されるハイパワーカーでタイムアップを狙う際、意図的にフロントを太くすることがあるという。そうした意味で彼らは昔からRS3と同じ考え方を持っている。
そのセオリーを理解し、そっとサポートするのがアドバン・レーシングだ。あらゆる車種、カテゴリーに対してスポーツホイールの理想像を追い求めるこのブランドは、RS3に対してRZ-DF2を用意した。ブランド初の金型鍛造モデルとして生まれたRZ-DFの最新版であり、初代を彷彿とさせる10本スポークを持つ。しかしボルトホールを起点に狭角のツインスポークが5つ伸びていく“2×5”だと捉えてもいい。極限まで細く鍛えあげたスポークで繊細さを訴えながら、サイドカットの加えかた、リムへ着地する際のリブを工夫することによって、力強さと美しさを同居させた。もちろん単にデザイン性を追い求めただけではない。ハイパフォーマンスカーへのマッチングを想定しながら強度と剛性を追い求め、軽量性能も満足させるための、必要から生まれた造形である。
この造形はRS3に当て込むことで、実像を持って理解できる。純正と同じサイズを用いながらも、よりスポーティかつ色気のある雰囲気へ。リアのコンケーブ2に対して、フロントはより深みのあるコンケーブ4となることで、まるで前脚で路面を掴んで離さないような安定感がある。ビッグキャリパーを難なく飲み込みながら、サラリとアドバン・ネオバAD09を履きこなす感覚も絶妙だ。普段はクールに実用的4ドアセダンとして振る舞いながら、ふとした瞬間にどう猛な牙を向いてライバルを蹴散らすような存在である。いや、ライバルを超えてスーパーカーをも蹴散らすと評判のRS3だ。その“万能感”はアドバン・レーシングRZ-DF2によって、より際立っているように思えた。
ADVAN Racing RZ-DF2
■サイズ/価格
19inch×8.5〜10.5J/118,250円〜124,850円(税込)
20inch×9.0〜11.0J/119,350円〜136,950(税込)
■カラー
ダイヤモンドカット&ハイパープラチナ、ダイヤモンドカット&レーシングチタニウムブラック、レーシングチタニウムブラック(一部サイズに設定なし)
■対応車種/メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、VW等
【SHOP INFORMATION】
イシカワエンジニアリング
住所/神奈川県横浜市瀬谷区卸本町2162-10
営業時間/10:00〜18:00
TEL/045-442-8777
定休日/水曜日、隔週 日曜日、月曜日
問い合わせ先=YFC TEL 0463-75-9346 http://www.yokohamawheel.jp/
取材協力=イシカワエンジニアリング TEL 045-442-8777 https://ishikawa-engineering.com/
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