ついに国内に上陸した最新型ポルシェ911GT3 RSは、モータースポーツで培った技術とノウハウによってパフォーマンスを大幅に向上させた、まさに“ウェポン”だ。その異次元の世界の走りをお伝えしよう。
公道でも実感できる強大なダウンフォース
ポルシェの発表資料には、911 GT3 RSについて「モータースポーツの技術とコンセプトを最大限に活かした高性能スポーツカーです」と記載されている。いやいや、このエクステリアはレーシングマシンそのもの。なんだか、公道を走っちゃイケナイみたいな気持ちにさえなる。
それもそのはずで、市販レーシングマシンのGT3 Rよりもエアロダイナミクスのディテールは高度に見えるほどだ。前後フェンダーやボンネット周りの処理は、フェラーリだってココまではしない。スワンネック式で吊り下げられた2枚重ねのリアウイングは、ルーフよりも高い位置にある。
もちろん、機能は本物だ。ダウンフォースは、200km/hで409kgを確保し285km/hでは860kgに達する。この数値は、ベースとなるGT3の3倍になる。さらに、F1マシンのように強いダウンフォースの必要がないストレートではウイングの角度が変わるDRS(抵抗低減システム)を作動させて最高速度を上乗せすることも可能だ。
しかも、ダウンフォースの効果を感じるのはサーキットの速度域だけではない。公道のコーナーを立ち上がる際にアクセルを踏み足しても、フロントタイヤの接地感が十分に確保されていることが確かめられる。911は基本的にリアヘビーであり、試乗車の前後重量配分も38:62になる。そのため、加速時にフロント荷重が減りそれはそれで911らしさとして自分は好感が持てる。ただ、速度域が高くなるほど前後のタイヤがバランスよく路面をつかんでくれた方が安心感が増すことも事実だ。
サスペンションは、専用の設定となる。スプリングとダンパーが強化されているだけではなく、ブレーキング時のピッチングを大幅に低減するために取り付け位置などの幾何学的な設計も変更。タイヤは、前後ともにGT3よりも2サイズワイド化。フェンダー内に納める目的で、ボディ全幅は38mm拡大している。
サスペンションを強化し超高性能なミシュランのパイロットスポーツカップ2を装備しCFRP製のフルバケットシートに腰を納めているだけに、走り始めた直後にはガチガチに硬いという印象を抱いてしまう。ところが、荒れた路面を通過しても不快感を伴う突き上げとは無縁でいられる。設定としては硬くても、サスペンションはスムーズに動いているからだ。
つまり、GT3 RSは見た目ほど現実離れしてはいないということ。それこそ、走行中はさまざまなノイズが室内に渦巻く。にもかかわらず、意外なほど騒がしくはない。なぜかといえば、たとえばゴーッというロードノイズだけが突出することなくサウンドとして耳障りに感じにくいためだ。
なおかつ、そうしたノイズのすべてをアクセルを踏み続けることで9000rpmまでブン回せる専用開発の自然吸気式エンジンのサウンドが覆い被せてしまう。そのあたりについては、後日比較記事で詳しく解説しよう。
【SPECIFICATION】ポルシェ 911 GT3 RS
■車両本体価格(税込)=33,780,000円
■全長×全幅×全高=4572×1900×1322mm
■ホイールベース=2457mm
■トレッド=前:1630、後:1582mm
■車両重量=1450kg
■エンジン形式/種類=ー/水平対向6DOHC24V
■内径×行程=102×81.5mm
■圧縮比=13.3
■総排気量=3996cc
■最高出力=525ps(386kW)/8500rpm
■最大トルク=465Nm(47.4kg-m)/6300rpm
■燃料タンク容量=64L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=—km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/35ZR20、後:335/30ZR21
問い合わせ先=ポルシェジャパン TEL0120-846-911
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