レクサスのLBXは「本物を知る人が素の自分に戻れるクラスレスコンパクトで新しいラグジャリーの価値を提供」を目指して開発したという。この最新モデルの国際試乗会がスペイン・バレンシアで開催された。
LBXは遠目にもハッとさせる存在感
本格的な公道試乗の機会は、まずヨーロッパが舞台となった。バレンシアで改めて対面したレクサスLBXは、美しい街の景色の中で想像以上の存在感を放っていた。
全長4190mm×全幅1825mm×全高1545mmとサイズは手頃だが、ワイドなトレッド、225/55R18という大径タイヤによる力感漲る下半身に対して、キャビンがギュッと絞り込まれたプロポーションのおかげで、貧弱な印象はまるでない。ユニファイドスピンドルと呼ばれるフロントマスクも、強い目ヂカラで遠目にもハッとさせる存在感を示す。
このプロポーションを実現させるためもあり、トヨタ・ヤリスクロスなども使うGA-Bプラットフォームはホイールベースとトレッドを拡大。ボディ剛性も徹底的に強化されている。
さらに、フロントサスペンションは新設計。キャスター角を大きく取り、アルミ鍛造ナックル、入力分離型アッパーサポートなどを採用することで、乗り心地、コントロール性の向上にも繋げている。
パワートレインはハイブリッドのみ。直列3気筒1.5Lエンジンに振動を抑えるバランサーシャフトが入れられ、大出力を高速で出し入れできるバイポーラ型ニッケル水素バッテリーが組み合わされるなど大幅なアップグレードが図られている。最高出力は136ps。FFと後輪モーター駆動の4WDが用意される。
試乗車はセミアニリン本革とプライムスムースのコンビシートを備えたCOOLのFF版。走り出すと、その軽やかさに心が弾んだ。
まず気になるパワートレインは、電気モーターのピックアップの良さを活かした加速が爽快で、街中でのゴー・ストップは得意中の得意と言える。充電状態に余裕があればエンジンがかかるのはそれなりに速度が高まってから。かなりの時間、EV走行をキープする。
エンジンは3気筒ということで振動、騒音対策は相当徹底されたようだ。実際、バランサーシャフトの搭載によりフィーリングには雑味はなく、音もかなり丸められている。軽やかな回転上昇という旨味もあって、十分納得できた。
ただし、郊外のペースの速い交通状況、高速道路の導入などでは全開近くまで踏み込むことも多く、動力性能にもう少し余裕が欲しいという感はなきにしもあらず。とは言え、日本の交通環境ならば不満となるほどではないだろう。
フットワークも好印象だった。カチッとした良いモノ感はあるけれどヘンに重厚ではなく、コンパクトカーらしい瑞々しさが感じられる走り、とでも表現すればいいだろうか。しっかりアシが動いているのを実感できる乗り心地は上々。高速域に至るまで直進性は高く、挙動はビシッとしているのだが、そこから操舵していくと小気味よく旋回に入る。適度なロールを伴うコーナリングは軽快ながらも安定していて楽しめる。
目を瞠ったのが実はブレーキだった。減速時に制動力をリア寄りにしてフラットな姿勢を保つブレーキ姿勢車両制御がいい働きをしているのだ。加速、減速、旋回の繋がりの良さが、走りの心地よさに繋がっている。
コンパクトカーらしい軽快さはそのままに、デザインやクオリティ、そして走りを質高く仕上げる。LBXはプレミアムコンパクトのあるべきカタチを巧みに具現化してみせたと言えそうだ。
【SPECIFICATION】レクサス・LBX“クール” 2WD
■車両本体価格(税込)=4,600,000円
■全長×全幅×全高=4190×1825×1545mm
■ホイールベース=2580mm
■トレッド=前後:1570mm
■車両重量=1310kg
■エンジン形式/種類=M15A-FXE/直4DOHC16V
■内径×行程=80.5×97.6mm
■総排気量=1490cc
■最高出力=91ps(67kW)/5500rpm
■最大トルク=120Nm(12.2kg-m)/3800-4800rpm
■モーター形式/種類=IVM/交流同期電動機
■モーター最高出力=94ps(69kW)
■モーター最大トルク=185Nm(18.9kg-m)
■燃料タンク容量=36L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=27.7km/L
■トランスミッション形式=電気式無段変速機
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:225/55R18
問い合わせ先=レクサスインフォメーションデスク TEL0800-500-5577