【海外試乗】パワフルなハイブリッドモデルで史上もっとも万能なカイエン「ポルシェ・カイエンターボEハイブリッドクーペ」

2023年4月の上海モーターショーで発表された新型カイエンに、トップエンドモデルの「カイエンターボE-ハイブリッド」が追加された。スペイン・バルセロナで開催された国際試乗会で、“カイエン史上最高”のPHEVの実力を試した。

快適性とスポーツ性の幅を広げ、洗練させている

“カイエン史上最高”の最高出力739ps、最大トルク950Nmと聞いて、どんなモデルを思い浮かべるだろうか。

最高出力599ps、最大トルク800Nmの4L V8ツインターボエンジンにモーターを組み合わせ、合計出力は“カイエン史上最高”の739ps/950Nmを発揮。

2023年10月、スペイン・バルセロナで新型カイエンのトップエンドモデル「カイエンターボE-ハイブリッド」の国際試乗会が行なわれた。ポルシェはいま2030年までに80%超の市販車を内燃機関から電気自動車へとスイッチする目標を掲げる。タイカンに続く電気自動車の第二弾は、来年の発表が予定される次期型マカン。2025年にはこのカイエンもBEV版が登場予定だ。ポルシェはそれまでの橋渡しとして、新型カイエンに3種類のPHEVを用意する。「E-ハイブリッド」、「SE-ハイブリッド」そして、「ターボE-ハイブリッド」だ。

ルーフレールの有無、そしてCピラーの形状の違いが標準(SUV)とクーペを識別するポイント。世界的にみてもSUVの人気が高く、クーペの販売比率は欧州で約3割、日本ではもっと低いという。GTパッケージにはチタンマフラーを標準装備。

トップエンドモデルといえば先代には、ニュルブルクリンク北コースでSUVとして世界最速のタイムを記録した「ターボGT」というモデルが存在した。開発者に尋ねると実はこの新型にもターボGTは存在するが、日本や欧州の排気ガス規制には適合しないため主に北米と中国で販売。そのかわりに「ターボE-ハイブリッド」のクーペボディにのみ「GTパッケージ」というグレードを新設し、日欧ではこれが頂点を担う。

まずは「ターボE-ハイブリッド」クーペに乗る。モーターおよびバッテリーなどは3車に共通のもの。モーター出力は176ps、トルクは460Nm、バッテリー容量は25.9kWhに増大、電気のみによる航続距離はで最長82km(ターボE-ハイブリッドのWLTPモード)を実現する。

GTパッケージはPCCB(ポルシェカーボンコンポジットブレーキ)とイエローキャリパー、そして22インチGTデザインホイール等を標準装備する。

早朝、バルセロナ市街地にあるホテルをスタート。バッテリーは満充電から少し欠けた状態で、メーター内には電動走行可能距離は66kmと表示されていた。電動走行モードであるE-POWERで走りだす。“カイエン史上最高”なのに排気音も排ガスもないのは、良心の呵責に苛まれなくていい。朝の渋滞をくぐり抜けて高速道路に入る。約130km/hまでは電動走行可能なためエンジンが始動することはない。ナビゲーションの案内にしたがって高速道路を下り山間のワインディングロードに入った。車重2.5トンもあるとは思えないほど軽快に走るし、22インチタイヤとは思えないほど乗り心地もしなやかだ。

メータパネルは、フリースタンディングデザインの12.6インチ曲面ディスプレイを採用。オートマチックギアセレクターは、ステアリングホイールの隣に移設されている。

ナビゲーションの目的地は、バルセロナ郊外にあるサーキット、パルクモートル・カステリョリだった。全長4140m、11コーナーがあり高低差は約50mもあるテクニカルなコースだ。ここでは「GTパッケージ」を試す。カーボンパーツを多用し、軽量バッテリーなどを採用することで、ベースモデル比マイナス100kgの軽量化を実現。車高は10mm低められている。インストラクターがドライブする911ターボを先導車にコースインする。走行モードをスポーツプラスモードへ。青く焼けたチタンマフラー内のフラップが開き、車室内にV8サウンドが飛び込んでくる。

新型のハイライトのひとつである伸び側と縮み側を別々に調整してくれる2チャンバー、2バルブ技術を採用したアダプティブエアサスペンションが、ピッチやロールをしっかりと抑制しながら実にしなやかに動く。200km/ hを超えるストレートからコーナーへと進入する際のフルブレーキングにも標準装備のPCCBは音を上げることなくきっちりと仕事をする。大きく重いSUVなのにこれほど起伏の激しいサーキットで試乗させるなんて、よほど自信のあらわれだろう。ターボGTのような圧倒的な速さはない、しかし洗練を身につけている。史上最速というより、史上最万能なカイエンといえるものだった。

【SPECIFICATION】ポルシェ・カイエンターボEハイブリッドクーペ GTパッケージ
■車両本体価格(税込)=27,900,000円
■全長×全幅×全高=4930×1995×1652mm
■ホイールベース=2895mm
■トレッド=前:1686、後:1684mm
■車両重量=2495kg
■エンジン形式/種類=V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=86.0×86.0mm
■総排気量=3996cc
■最高出力=599ps(441kW)/6000rpm
■最大トルク=800Nm(81.6kg-m)/2400-4500rpm
■モーター形式/種類=IVM/交流同期電動機
■モーター最高出力=176ps(130kW)/3200rpm
■モーター最大トルク=460Nm(46.9kg-m)/0-2690rpm
■燃料タンク容量=70L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=—
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:285/40ZR22、後:315/35ZR22

問い合わせ先=ポルシェジャパン 0120-846-911

リポート=藤野太一 フォト=ポルシェジャパン ルボラン2024年1月号より転載

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