パネルバン仕様キットを活かしたハイルーフ
実車の六代目スバル・サンバーとそのプラモデルについては、先に公開した前編(下の「関連記事」参照)にてすでに述べた。ここでお目にかけている作品は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の264号(2018年)にて掲載されたものだが、以下、そのとき作例と併せて掲載された作者自解(制作した森山氏によるもの)をお読みいただこう。
【画像25枚】ボディ細部や内装、ホイール改造など、作例の制作工程を見る!
「今までのトラック特集では日産旧車のピックアップトラックばかり担当してきましたが、今回はうって変わって、現代の軽トラックからワンボックスのバンへの改造です。アオシマのTT1型サンバーをベースにディアスへと仕立ててみました。今回の改造は車体の後ろ2/3を新造する事になりますので、一見難易度が高そうに見えますが、実際のところは、プラ板で切り出したパネルを箱組みしてのハリボテ工作。複雑な面構成ではないので、セダンからライトバンを作るといった改造にも応用できると思います。
ベースとしたのは荷室が箱状のパネルバン。当初は標準の平ボデーをベースにするつもりでしたが、パネルバン仕様はキャビンがハイルーフとなっており、ルーフの高さがバンと同じということに気づいて、急遽変更いたしました。平ボデーの方をベースにする場合は、さらに屋根を嵩上げする必要が生じますのでご注意ください。仕様としては、2011年に用意された50周年記念限定車、WRブルー・リミテッド(トラックとディアス双方に設定)として制作しております。
実車のサンバーは、そもそもスバル360のコンポーネンツを元に作られたキャブオーバートラック/バン。軽トラックや軽乗用車の主流がFRからFFに移っていく中、サンバーは歴代を通してRR駆動を踏襲。キャブオーバートラックとしては他に例を見ない四輪独立懸架を、乗用車でも採用例があまりなかった当時の初代から採用し、その操縦安定性の良さから『農道のポルシェ』とも言われたものです。
さらに、スバルのお家芸とも言える4WDを1980年以降展開し、悪路や雪道での走破性と実用性の高さから他社もこれに追随するなど、独特の地位を築きました。しかし2012年、スバルの軽自動車撤退によりダイハツ・ハイゼットのOEMとなり、その血筋は途絶。固定ユーザーの多いことや、ハイゼットに競合他社との差別化が少ないことを考えると、売れ行き具合いから袂を分かった方がいいのでは、とも思えるのですが……。
キット化されないなら自分で改造してみよう
アオシマのキットは、1999年にデビューした六代目の、2009年以降の最終モデル。単体でもディスプレイしたくなるほどのシャシーの精密再現(実際やるには、省略されているエンジンの一部を作る必要がありますが)には度肝を抜かれたものです。WRブルー・リミテッドや赤帽、消防車など多彩なバリエーション展開もされましたが、残念ながらワンボックスのバンは未だにリリースされておらず、それも制作したかった理由のひとつです。
今回も、デカールの制作でご協力頂きましたSMP24様に、この場をお借りして御礼申し上げます。今回の作例から、皆様にとっても何かしらのヒントが見つかれば幸いです」
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