エンジンの熱い息吹で20年を取り戻せ!
1974年の誕生以来、世界中で3000万台以上が販売されてきたフォルクスワーゲン・ゴルフだが、ドイツ市場ではここ数年、その存在に陰りが見え始めている。2019年には20万4,550台を販売したのに対し、2022年は8万4,242台と3年間でなんと58.8%も減少してしまったのだ。
その理由は、同門のティグアンやT-ROCといったSUVとの競合、あるいはID.3やID.4などBEVの台頭にあることは周知の事実で、コンパクトカーの世界基準といわれてきた傑作が、このままフェードアウトしていくのは歴史の流れなのかと納得せざるを得ない一方、ICEならではの魅力にあらためてフォーカスする動きも出てきている。いわゆる”ホットハッチ”という側面だ。
ゴルフのスポーティモデルと聞けば誰もがGTIをイメージするだろうが、実はドイツ市場に限っていうと、現行ゴルフ8はGTIよりもRのほうがセールスに勢いがある。そんななか、2002年に初代RとなるR32が登場してから20周年を迎えたタイミングで、VWはゴルフRの20周年記念モデルをリリースしてきた。
【写真6枚】トップエンドへ向けてのストーリー性のある加速フィール!
エンジンは、現行ゴルフ8のRに積まれる2L 4気筒ターボのEA888evoで、ターボの過給圧を上げ、ソフトウエアを最適化することにより最高出力は+13psの333psを発生。7速DSGを介しての最高速度は270km/hでリミッター制御、0↓100km/h加速は4.6秒とカタログでは謳われる。エクステリアでは、ブルーとホワイトの専用ボディカラーが用意されるほか、左右のヘッドライトを繋ぐラインもボディと同色化。19インチのBSポテンザ・スポーツS005に組み合わせるホイールは、ブラックとブルーから選択可能だ。
今回はサーキットで走らせたが、ピットロードからの加速で、すでにパワーアップの恩恵はあらたか。アクセルを深く踏み込むと、吸気バルブが開いて蹴とばされるようなダッシュを開始。トップエンドへ向けてのストーリー性のある加速フィールは、やはりEVのそれとは一線を画するものだ。アクラポヴィッチ製のエキゾーストが奏でる官能的なサウンドも心地いい。
ドイツ本国における20周年記念ゴルフRの価格は5万9,995ユーロ(19%付加価値税込)で、台数限定ではないが、生産期間はおよそ1年に限られる。興味のある方は急いだほうがよさそうだ。
コクピットまわりのデザインとレイアウトは、基本的にスタンダードモデルから変わりない。ステアリングスポークのボトムにブルーの”R”ロゴがマーキングされる。