七代目シビックをベースに英国で生産、輸入販売
現在(2023年2月)はコロナ禍の影響もあり、一時受注を中止しているというシビックTYPE R(タイプR)。タイプRというネーミングは、ホンダ車を愛するスポーツカー/スポーティカー好きにとって、特別な響きを持っていることであろう。この現行モデルは、シビック・タイプRとしては六代目となるが、シビックの初代タイプRは1997年に登場している。
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ホンダ車のラインナップを縦断して設定されてきたタイプRだが、その嚆矢となったのは1992年発売のNSXタイプRだ。徹底した軽量化やエンジン材質の見直し、サスペンション設定の変更などによって、サーキット走行にも対応できる本気度の高い内容を持っていたのが、その特徴であった。こうした本格的な内容をより手軽な車種で、という意味でリリースされたのが、1995年登場のインテグラ・タイプRだが、さらにこれに続く第3のタイプRとして送り出されたのがシビック・タイプRという訳である。
ベースとなったEK型シビックは六代目にあたるモデルだが、タイプRはその3ドア・ハッチバックにのみ設定されたもので、やはりボディはとことん軽量化されていた。これに組み合わされるエンジンは専用ユニットであるB16B型で、1.6LのNAでありながら185psという高出力を発揮、もちろんサスペンションやブレーキも強化。EK9型シビック・タイプRはマイナーチェンジも行いつつ、2001年まで生産された。
シビックはこれに先立ち2000年にモデルチェンジを行い、七代目モデルへと進化している。この世代の特徴はハッチバック・モデルが5ドアのみとなったこと。初代以来、シビックといえば3ドア・ハッチバックのイメージが強かったものだが、この変化は日本国内の需要の変化に応じたものである。国内では他に4ドア・セダンのフェリオがあったが、海外向けには3ドア・ハッチバックはもちろん、2ドア・クーペも存在していた。この七代目シビックをベースとしたタイプRは、2001年8月に発売されている。
この二代目タイプRは、先代同様に3ドア・ハッチバックをベースとしている。国内モデルになかった3ドアをどのように? と言えば、これはイギリスで生産されたヨーロッパ向けシビックを輸入して販売したのであった。ちなみに、4ドアはES型、5ドアはEU型、といった具合に型式名がついていた七代目シビックだが、3ドアはEP型であり、このタイプRはEP3型と呼ばれる。なお、3ドアは5ドアよりホイールベースが110mm短い。
ヨーロッパ向けモデルにもタイプRという名のトップモデルが存在し、高い人気を獲得していたのだが、その内容は国内とは別物である。日本向けのタイプRは専用に仕立て直されたモデルとなっていた。エンジンはインテグラ・タイプRと同じK20A型で、2L 直列4気筒DOHC i-VTEC。単管等長のショートインテークマニホールドやデュアルエキゾーストマニホールドを具え、軽快な吹け上がりを実現していたが、扱いやすさを重視し、最高出力は215ps(インテグラ用より5ps低い数値)と若干抑えられている。変速機は6速MTが組み合わせられた。
このほか、専用のハードセッティング・サスペンションや前後ストラット・タワーバー、トルク感応型ヘリカルLSDなどが装備され、室内にはタイプR定番のレカロ製バケットシートやMOMO製ステアリングホイール、アルミ製シフトノブなどが奢られている。通常のタイプRのほかにCパッケージと呼ばれる豪華版がメーカーオプションで用意され、こちらにはオートエアコンやパワーウィンドウ、プライバシーガラス、電磁式キーレスエントリーなどが備わっていた。EP3型シビック・タイプRは、マイナーチェンジも経て2005年まで販売が行われた。
どこが似てないかを見極めるのもプラモ制作テクニックのひとつ
EP3のプラモデル化は、フジミのみが行っており、このキットは現在も入手可能だ。実車同様にDC5型インテグラとシャシーを共用しており、またパーツ数も少なめで組み立てやすさを重視した印象である。プロポーションなども良好であり、キットとしては決して悪くないものだが、細部パーツの形状や大きさなどに若干詰めの甘いところがあるらしく、完成した姿には、実車をそのままスケールダウンした、というような印象がないようだ。ここでお目にかけているのは、それらの点に手を加えて完成度を向上させた作品である。
具体的には、ヘッドライトやフロントグリルの形状、ホイール径などに手を加えているのだが、これについては、制作過程の画像、そして追って公開となる後編の記事をお読みいただきたい。このキットが手元にあるものの今ひとつ制作の手が進まず……というような方には、大いに参考となるはずである。
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