【Tipo】平成の始まりを告げたロードスターとライバルたち―― FFでもロータスはやっぱりロータス!! 2代目『ロータス・エラン』編

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30年前に発売されたNAロードスターは大ヒットを飛ばし、フォロワーも続々と登場。また同時期に、BMWやロータスも、新世代のライトウェイト・オープン2シーターを模索し、意欲的なクルマをデビューさせていたのだった。最終回となる3回目は2代目エランをピックアップ!

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FFでもロータスはやっぱりロータス!

初代エランが伝説的な存在であり、真の後継者であるエリーゼが傑作となったことから、その狭間の1990年に生まれた二代目エランの存在は、とてもぼんやりとしている。このクルマをボクが知ったのはまさにティーポの記事で、当時のテスターがそのハンドリングを高く評価していたことは何となく記憶に残っている。

でも、正直エフエフでしょ? 車重は900kg台だけど、それでエランと言えるの? 極めて外野エンスー的な野次をもって、ボクもティーポの判官贔屓に疑いの目を向けていたのだけは、ハッキリ覚えている。

そんなエランのステアリングをこの期に及んで握れたのだから、人生って不思議だ。そして感じたのはこれが紛れもないロータス、いやロータス・エンジニアリング車だということだ。

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当時GM傘下だったロータスは当然のことながらグループ内の素材を使ってこのエランを作る必要があり、ここで日本のいすゞ製の1.6L直列4気筒「4XE1」ユニットと同社製5速MTが選ばれた。というよりむしろこのエンジンは、やはりFFモデルとなった二代目ジェミニZZの「ハンドリング・バイ・ロータス」で彼らがDOHC化したユニット(130PS)そのもの。そして今回試乗した「SE」は、これをターボ化して165PSまで出力アップしたものだ。

さらにシャシーには横置きFFながら伝統のバックボーンフレームが採用され、これに付けられた足周りはなんと前後共にWウイッシュボーン。フレームの関係からボディもガッツリFRP製となったのである。つまりFWDである以外、ロータスの伝統と技術がテンコ盛りされているのだ。

どうしてここまでしながら……。それは前述の通りだが、それ以上にロータスは、エンジニアリング会社としてFWDへの技術力をアピールしたかったのではなかろうか。少なくとも本気でFRを復活させるならマツダのようにコストをそこへ集中させ、情熱を持ってGMを口説いたはずだから、彼らの狙いは別にあったのだろう。それに彼らはあくまで受けた仕事を確実にこなす“プロ”だったのだと思う。

低い重心と、わずか1020kgとは思えないどっしりとしたロードホールディング性。これと比べたらユーノス・ロードスターなんて、情けないほどヘコヘコな乗り味だ。コーナーで路面にへばりつく、タイヤを選ばない身のこなしはエリーゼにも通ずる足捌きで、この時既にロータスのフットワークは極まっていたのだと痛感する。

NA領域でもトルキーなエンジンはブーストが掛かると今でもそれなりの現役感を伴って加速する。シフトフィールだけはストロークが長く凡庸だが、少し独特な手長ザル姿勢で小径ステアリングを回し、狭い足下でヒール&トゥする運転感覚は、ブリティッシュ・スポーツらしさに溢れている。

二代目エランは確かにFWDスポーツの意欲作だったのだろう。そしてこの夢を打ち砕いたのが初代エランに憧れたユーノス・ロードスターだったのだから、歴史とは面白いものである。

【SPECIFICATION】ロータス・エランSE
■全長×全幅×全高:3803×1734×1230mm
■ホイールベース:2250mm
■トレッド(F&R):1486mm
■車両重量:1020kg
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ
■総排気量:1588cc
■最高出力:165PS/6600rpm
■最大トルク:20.4kg-m/4200rpm
■サスペンション(F&R):ダブルウイッシュボーン
■ブレーキ(F/R):Vディスク/ディスク
■タイヤ(F&R):205/50R15
■新車時価格:625万円

撮影:山本佳吾 車両協力:一般社団法人 日本乗物振興会 ティーポ359号より転載

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