どデカいリンカーンを大胆改造で制作!AMT製プラモ「1960年型コンチネンタル・マークⅤ」【モデルカーズ】

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独自性をほぼ失った三代目(?)コンチネンタル

アメリカを代表する高級車、キャデラックと並ぶ一方の雄、リンカーン。1950年代前半のリンカーンは、同じくフォード社のブランドであるマーキュリーとの露骨な設計共用と、あまりに地味なスタイリングで評価を落としていた。しかし、スタイリッシュな1956年型で息を吹き返し、販売台数はほぼ倍増。さらに1958年型では、ホイールベース131インチ(3327mm)の大きく派手なボディにモデルチェンジして注目を集めた。

【画像20枚】派手ながらもフォーマル感あるコンチネンタル・マークⅤを細部まで見る!

一方、1948年型まで存在したリンカーン・コンチネンタルの二代目モデルとして、コンチネンタル・マークⅡが1956年型においてデビュー。これはリンカーンとは別立てのブランドであり、フォード社内にもコンチネンタルという新たなディビジョンを創設して手掛けたものである。シャシーは共用ながらボディはリンカーンと全く異なるものを採用していたが、あまりのコスト高から、1958年型からは通常のリンカーンとボディを共用することとなった。こうして生まれたのが、1958年型コンチネンタル・マークⅢである。この世代のコンチネンタルは1960年型まで存続し、車名は1959年型では同マークⅣ、1960年型では同マークⅤとなった。

この3年間を通じ、ただのリンカーンとの大きな違いは、コンチネンタルのみリアピラーおよびリアウィンドウが逆傾斜となることである。車名にも「リンカーン」を冠さずコンチネンタル~とのみ名乗ったが、ディビジョンとしてのコンチネンタルはすでに廃止されていた。カタログ(ブローシャー)もリンカーンと統合されており、リンカーンと別もののブランドと見做すかどうかは、文献などでも判断の分かれるところだ。これは要するに統合を段階的に行ったゆえの混乱で、1960年型ではカタログ記載の車名は「リンカーン・コンチネンタル」となっている。

その起源は優雅な2ドア・クーペ/コンバーチブルであり、マークⅡもクーペのみであったコンチネンタルだが、このマークⅢ-Ⅴでは4ドアもラインナップされていた。1960年型/マークⅤのバリエーションは、4ドアにはセダンとハードトップ(「ランドウ」と呼ばれる)、リムジンとタウンカー(リムジンとほぼ同一だが車内に前後席の仕切りがない)があり、これに2ドアのクーペ(ハードトップ)とコンバーチブルを加えて、合計6種類。前述の逆傾斜リアウィンドウは中央部が上下する仕組みを持つものだが、リムジン/タウンカーを除く4種類には全て(なんとコンバーチブルにも!)備わる。

ルーフ以外の基本的なスタイリングは通常のリンカーン(1959年型まではリンカーン・カプリと呼ばれる)およびリンカーン・プレミアと共通で、「コンチネンタル」と言えば想起されるリアのスペアタイヤカバー形状なども、このマークⅢ-Ⅴではフィーチャーされていない。斜め配置のヘッドライトと巨大なボディは3年間を通じて変わらないが、1959年型ではヘッドライトとグリルが一体化し、フロントバンパー側面からフェンダーにかけてのコンケイブ形状が緩和され、1960年型ではリア周りが角ばった形に変化するなど、徐々に四角い形へと改められている。エンジンは430-cidのV8(315hp)を搭載。

アメリカンカープラモならではの設計事情が垣間見えるモールド
この世代のコンチネンタルはAMTが1/25スケールでプラモデル化しているが、1958年型/マークⅢはキット化されていない。ここでお見せしている作例は、1960年型/マークⅤコンバーチブル(No.44460)のボディに、1959年型/マークⅣのクーペ(オリジナル:4HTKではなく、再販版:4035)からキャビンを切り取って乗せるという、贅沢な手法で制作したマークⅤクーペだ。ただしこれは、作者の手元にキットがなかったためで、もちろんマークⅤのクーペもキット化されている(4460)。残った1959年型のキットは、いずれコンバーチブルで制作したいとのこと。

キットは1960年製のオリジナルを塗装済みのビルドキットとして入手したものだ。この頃はまだAMTのキットはエンジンレスのプロポーションモデルで、インテリアもバスタブ状の一体成型。まさにプロモーショナルモデルを分解したものに近いパーツ構成だ。オプションのカスタムパーツがいくつか付いて、自由に外装のデコレーションが出来る。

まずは塗装を剥離して元の状態に戻す。やはり50年前のキットだけあって、プラ素材がかなり硬くなっている。古いジョーハンほどもろくはないので、ワイパーやドアノブの彫り込みは可能だったが、無理に力がかからないように注意が要る。足回りはオリジナルパーツを使用、ホイールベースやトレッド、車高に関しては全く問題がなかった。前後のバンパー、グリル、ホイールのメッキは色あせてしまっているので、メッキを剥がしてリクローム処理。ボディとのフィッティングをし直し、パーティングラインも取り除いたので、よりリアルな仕上がりになった。

フロントグリル中央部にはリンカーン・エンブレムのモールドがあるが、実車では、このようなエンブレムは装着されていない。実車の開発中の写真ではグリル内エンブレムが確認できるので、プロトタイプには存在していたのであろう。そのタイミングで設計されるプロモーショナルモデル/アニュアルキットならではのエラーである。また、リアウィンドウの左右にピラーがない。前述のようにこの窓は三分割で、中央部が下にスライドして開口する仕組みだ。作例では完成後に気が付いた(撮影直前)ため、修正は行っていない。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.184より再構成のうえ転載

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