本気のノーマル化に走り屋風味を添えて!アオシマ製プラモ「ダットサントラック」を改造・前編【モデルカーズ】

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4WDをラインナップに加えた八代目

その名はすでに日本国内からは消えて久しいが、遥か昔、「ダットサン」と言えば小型車の代名詞、そして「ダットサントラック」と言えば小型トラックの代名詞であった。ダットサンが、日産の小型車に冠されたブランド名であることはもはや忘れられてしまったであろうが、近年では同社の海外戦略において使用されていることから、聞き覚えのある方も少なくないかもしれない。

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ダットサントラックは、小型乗用車ダットサン、ひいてはブルーバードをベースに生まれた小型ピックアップトラックで、その車名は長い歴史(1930年代から2010年代まで)を誇った。戦後に生産を再開されたモデルを二代目として、また1950年代の120型と220型を別世代としてカウントすると、全部で十世代を数えるダットサントラックだが、その性格に特に変化が生じたのは、七代目・620型系(1972年)と、八代目・720型系(1979年)でのことであると言えよう。

620型においては、それまでブルーバードと共通のボディパネルを使用してきたところから一転、専用のスタイリングが与えられた点が大きな違いだ。北米市場を重視し――ということはレジャーユース重視でもある――曲線と曲面を多用してデザインされたその形は、非常にスタイリッシュなものであった。なお、シャシーは320型(310ブルーバードをベースに生まれた五代目)のものが寸法の変更はありつつ連綿と継承されている。720型はその方向性やシャシーも引き継ぎつつ4WDをラインナップし、さらにレジャーユース志向となったのが大きなポイントである。

八代目となる720型系ダットサントラックは、1979年10月に登場した。基本テーマとしては、すぐれた積載性はそのままに「居住空間の拡大」「快適性・安全性の向上」「乗用車感覚の導入」などが挙げられている。新たなボディスタイルは、620型とはガラリと変わって直線基調の、来る1980年代を見据えたものとなった。車種体系は、標準キャブ/標準ボデーを基本に、キャブ形状にはキングキャブ、ダブルキャブも用意、荷台のバリエーションとしてはロングボデー、フラットデッキがあった。

「居住空間の拡大」は荷台スペースを損なうことなく実現されており、標準キャブで室内長30mm/室内幅35mmの増大となっている。最も豪華なグレードであるGLでは室内のフルトリム化を行うなど、「乗用車感覚」も大いに発揮された。エンジンは、それまでのJ15から排気量アップしたJ16(直列4気筒OHV 1.6L)、新採用のL18(直列4気筒OHC 1.8L)、そしてディーゼルのSD22型(直列4気筒OHV 2.2L)の3種類を搭載。「安全性の向上」としては、マスターバックの容量増大(7インチ)やELR付三点式シートベルトの採用などが行われている。

翌1980年4月には、いよいよ4WDモデルを追加。これはロングボデー(1トン積み)とダブルキャブ(0.75トン積み)に設定されたもので、エンジンはL18のみが組み合わされる。前輪にディスクブレーキを採用し、マスターバックをさらに大型化(9インチ)するなど安全性にも配慮する一方、ホワイトロードホイールの標準装備に見られるように、スタイリッシュさも大きな売りとなっていた。

1982年1月にはマイナーチェンジを行い、内容を一層充実。外観では、GLだけでなくデラックスも全車ヘッドライトを角型4灯としたことが新しい。このマイチェンでの目玉は、4WDに標準ボデー(1トン積み)を追加したことだが、併せて搭載エンジンの変更も実施。J16はZ16に、L18はZ18にそれぞれ替えられ、ロングボデーのガソリンエンジンはディーゼルに変更、ダブルキャブにもディーゼル車が追加されている。また、4WDの各ボディタイプに、レジャー性を重視したADと呼ばれるグレードを設定。これは派手なボディストライプや革巻き風ステアリングを装備したモデルとなっている。

1983年4月にはさらなるマイチェンを実施。テールレンズが縦型となったほか、フロントグリルのデザインも変更。さらに大型エアダムが採用されるなど外観に大きく手が加えられたほか、ディーゼルエンジンの排気量を拡大(2.3LのSD23)している。さらに、キングキャブ仕様に4WDを追加したのも大きなポイントだ。こうして細かな変更を加えられ続けたダットサントラックは、1984年11月の累計生産台数500万台達成を経て、1985年8月にD21型系へとモデルチェンジした。

ボディと一体のオーバーフェンダーを削除して制作!
720型ダットサントラックのプラモデルは、グンゼなどのデフォルメものやレベル製1/25スケールなど意外と数が多いが、1/24スケールであり、かつ現在も入手しやすいということでは、アオシマのものが唯一と言えるだろう。ノーマルでリリースされたことのないこのキット(オーバーフェンダーがモールドされている)を、丸4灯ライトの前期型(ほぼノーマル)へと改造、ちょっと走り屋趣味をまぶした仕様として制作したのが、ここでお目にかけている作例である。

工作の詳細については工程写真のキャプションで細かく解説しているので、じっくりとお読みいただきたい。荷台周りの加工は他のトラックにも、またフェンダーのノーマル化は様々なキットにも応用できるテクニックと言えるだろう。フロントマスクの改造やシャシー、ホイール、インテリアの改修などについては、追って公開する後編の記事でご紹介するので、こちらもお楽しみに。

作例制作=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.264より再構成のうえ転載

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