御三家のハイエンドEVが集結。ドライバビリティ、快適性、最先性などの観点から、さらなる進化の先には、ブランドのフラッグシップとなる日もそう遠くないはずだ。これからのハイエンドやラグジャリーの在り方を考えさせる、3台のポテンシャルを紐解いていこう。
【写真5枚】インテリジェンスなクルマの最高峰、メルセデスベンツEQSの詳細を写真で見る
EQSのインパネは圧巻! ただ運転性には課題も……
その環境コンシャスぶりはもちろん、静かで滑らかで力強い走りや、さらには最先端のものに触れているという満足感をも含めて、もはやBEVこそがハイエンドラグジャリーカーに求められる要件をすべて満たす存在となりつつあることは疑う余地がない。その流れはジャーマンプレミアムブランドにおいては特に顕著だ。
その中でメルセデス・ベンツは、メルセデスEQというサブブランドを立て、BEV専用プラットフォームを使い、既存モデルとはまったく異なるラグジャリーBEVを登場させている。その最高峰に位置する存在がメルセデス・ベンツEQSである。
ワンボウ=ひとつの弓と呼ばれるキャビンフォワードの躍動的なシルエットは未来感たっぷり。そして室内に乗り込めば、MBUXハイパースクリーンの全幅1.4メートルにも及ぶ画面の大きさに圧倒される。しかもコレ、表示も見惚れてしまうほど精緻なのだ。
では走りっぷりは? 試乗車はメルセデスAMG EQS53 4MATIC+。精悍さを増した内外装に、最高出力658ps、最大トルク950Nmという途方もないスペックを誇るが、日常域の走りっぷりはトルキーかつ滑らかで、決して威圧してくる感じではない。
しかしそこからアクセルをひと踏みすれば、一気に強大なトルクの波が押し寄せ、怒涛の加速の渦に放り込まれる。正直、最初は楽しいけれど、何度か試したあとはもういいかなとなってしまう。
日本の道路事情では思い切りアクセルを踏めないからというのもあるが、それより大きいのはドライバビリティに粗さがあるせいかもしれない。ブレーキは低速域のコントロールが難しいし、アクセルも日常域とスイッチが入った時の落差が大きめ。それが刺激的とも言えるのだけれど。乗り心地も然りで、電気モーターの豊かな力感、スムーズさがメルセデスらしいラグジャリーサルーンとしての鷹揚なタッチにうまくハマッているのはEQS450の方だろう。
(中編・BMW i7へ続く)
【SPECIFICATION】メルセデスAMG EQS53 4MATIC+
■全長×全幅×全高=5225×1925×1520mm
■ホイールベース=3210mm
■車両重量=2670kg
■総電圧=396V
■総電力量=-kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=601km
■モーター最高出力=658ps(484kW)/-rpm
■最大トルク=950Nm(96.9kg-m)/-rpm
■サスペンション(F:R)=4リンク:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=275/40R21:275/40R21
■車両本体価格(税込)=23,720,000円