一期一会!! 奇跡に近いコンディションの『ロータス・エスプリS1』オーナーとショップが時間をかけて仕上げてきた跡が伺える1台

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ロータス・エスプリの知名度は非常に高いが、ジウジアーロ・デザインのモデルは決して個体数が多くはない。特にコンディションの良いS1の出物は奇跡に近いのである。ベンオートお薦めの1台、S1をドライブしてみた。

オーナーとショップが時間をかけて仕上げてきた跡が伺える奇跡のシリーズ1

スペシャルショップがお薦めするクルマというのは、けっこう間口の広い話である。クルマ屋さん的には”どうにも売れないクルマだから、なんとか掃いてしまいたい”という物件が出てきたって納得するしかない。そりゃ、お薦めしたいでしょうね、ということで。

ベンオートの馬場さん親子に電話をしてみると、即座に返ってきた答えがエスプリだった。しかも珍しいシリーズ1。聞けばロータスのスペシャリストでもそうそう出会えないほどコンディションが良いからなのだとか。

ウェブサイトの写真を見て、こちらもびっくり。何しろオリジナルのステアリングが付いているではないか! ボソボソした樹脂製で、保存状態によっては自然崩壊してしまうこともあるLOTUSの文字入りホーンパッドもちゃんと生き残っている。これは確かに一期一会の素性の良いクルマに違いない。ベンオートお薦めの1台、さすが!

【写真】奇跡に近いコンディションの『ロータス・エスプリS1』の詳細を写真で見る

ひとくちにヒストリック・ロータスといっても、価格や年代、そしてモデルごとに、オーナー層や維持管理のツボの違いが存在する。例えばエラン以前のオールド&レーシング系、エラン、そしてヨーロッパとエスプリによるミッドシップ系等々。ヨーロッパ/エスプリ系の傾向は、FRのエランより電気系をはじめとする信頼性が低いこと。それが原因で改造されており、それが再びトラブルの種になっていることも珍しくない。

また1960年代後半から1970年代のロータスの内装はスーパーカーを意識して少し洒落た素材を使っているのだが、もとより軽量であることを狙ったクルマなので作りがシンプルで信頼性が低い。しかもリペアしようと思った時に”少し洒落た”オリジナルの素材が手に入らず……ということでオリジナルコンディションの車両がめっきり少なくなる、という末路を辿っている。

FRPボディの外観は、後からなんとかしやすいと思う。メカニカルな部分もスペシャリストと共にコツコツと仕上げていくことは不可能ではない。だがインテリアは難しい。特に初代、ジウジアーロ・エスプリは……。

国道254号線沿いのヒストリック・ロータス総本山、ベンオートを訪ねてみると、丸みを帯びた60sロータスの中で1台だけ直射日光をバシバシと照り返してくる赤いエスプリがいた。久しぶりに見るエスプリS1は当たり前だがヨーロッパのように小さく、低い。

前後オーバーハングの下半分に着目して頂きたいが、まるでランチア・ストラトスのように急激に切り上がっていて、1970年代っぽい空力が見て取れる。だが実際に走ってみたらどうにもフロントのリフトが気になってベロのようなエアダムを追加したのだろう。

ボディの仕上げは見ての通りのすばらしさで、前後でサイズが異なる分厚いアルミホイールもエスプリS1オリジナルのGKN製のウルフ・レーシングホイールがちゃんと付いている。エンジンは点火系が信頼性の高いものに換えられている以外、見た目はオリジナルの良さがしっかりと残されている。

肝心要のインテリアはセンスの良い素材で所々リペアされているが、全体の雰囲気は素晴らしい。S1であることを大事にするオーナーとショップが時間をかけて仕上げてきた跡が伺える。少しニスがハゲてしまった丸いシフトノブを敢えて残すなど、全て新品同様にしてしまわないというのも古いクルマを仕上げるための重要なセンスだと思う。ロータスのような走らせて楽しむクルマは特にそうだ。

今回の撮影ではエスプリS1を少しだけ走らせることもできた。走行ノイズがパワートレーンやタイヤまわりだけでスッキリと完結しているし、シフトのタッチも的確。見た目の美しさに負けないメカニカル部分の素性の良さがしっかりと感じられる個体だった。

自分が追い求めているクルマが偶然にも赤いエスプリS1だという人がいれば迷うべきではないし、何か面白そうなものを探しているという人にとっては意外な、しかし間違いのない選択肢と言えるかもしれない。確かにこのロータス・エスプリS1、はお薦めしたくなる1台といえるのである。

写真:田中秀宣 取材協力:ベンオート カー・マガジン505号より転載

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2022/12/28 11:45

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