【海外試乗】全面刷新で新たな地平へ──。最新世代のアーキテクチャーを採用した『レンジローバースポーツ』はファン・トゥ・ドライブの極致

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5月10日、毎分750トンの水が流れるダム放水路を駆け上がってワールドプレミア。その後、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開された3世代目となるレンジローバースポーツを走らせる機会を得た。はたして、約10年という月日がその走りをどう鍛え上げたのか、興味津々である。

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剛性感たっぷりのボディとシャシー

あらゆるパワートレインに対応するランドローバーの最新アーキテクチャー、MLA-Flexをベースに構築された新型のボディサイズは、全長が4946mm、全幅が2047mm、全高が1820mmで、ホイールベースは2997mm。台形ボディをシンプルなフラッシュサーフェスで包み込んだエクステリアは、どこから見てもレンジローバーファミリーの一員だが、両脇にLEDヘッドライトを配するラジエターグリルは従来よりも小さく細長い形状。リアエンドも、これに呼応する車幅一杯の細長いガーニッシュが、左右のリアコンビランプに繋がる。

ここ数年、ドイツのプレミアムブランドは、中国市場を意識して押し出しの強いアグレッシブなエクステリアとする傾向にあるが、どこか控えめで品の良さを感じさせる佇まいは清々しいほど。さらに、同じファミリーであっても極端に近似させず、各々に個性を持たせているのにも好感が持てる。インテリアはまさにモダンブリティッシュで、使用されるトリムやフィニッシュも第一級。ロンドンのザヴィル・ロウで仕立てたオーダーメイドスーツのような装いだ。各種表示や操作系はドライバー正面の13.7インチディスプレイとダッシュ中央の13.1インチタッチスクリーンに集約され、前席回りはクリーンでシンプル。後席空間も十分なゆとりで、従来モデルに対して+31mmのレッグペースが確保されている。

当初よりパワートレインはガソリン、ディーゼル、マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドと幅広く用意されるが、今回メインで試乗したのはトップモデルのP530だった。エンジンはBMW製の4.4L V8ツインターボで、M850iにも採用されるN63。もちろん、搭載に際してはエンジンルーム形状に合わせてオイルパンなどにモディファイが施されているが、最高出力530ps/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmというスペックに違いはない。このエンジンの特性は、コンプレッサーのように低回転域からトルクが盛り上がるのではなく、スロットルの動きにリニアに反応して高回転域まで淀みなく吹け上がることで、つまりはファン・トゥ・ドライブ。運転が楽しい。

また、走り出してすぐに感じるのは、鍛え上げられたボディとシャシーに裏打ちされた一体感のある身のこなしで、ステアリングを大きく切り込んでもボディ上屋は遅れることなくスッと向きを変える。さらにコーナーの連続では、新採用となる最大切れ角7.3度の後輪ステアと電制のロールスタビライザーによって、クイックでスポーティなハンドリングを楽しむこともできる。もちろん、快適性も万全で、ドライバーの嗜好や路面状況、あるいはナビデータによるコーナーやアップダウンなどの道路情報を統合し、ダンピングを可変制御するダイナミック・エアサスペンションが、あらゆるシーンでストレスフリーのドライビングを約束してくれる。

ドイツにおける価格は、V8搭載のベースモデルが19%の付加価値税込みで9万3000ユーロ(約1350万円)。ちなみに、すでに予約注文をした全顧客の30%がV8モデルを選択していると聞けば、それも納得である。そのダイナミックなパフォーマンスを知ってしまった身からすれば。

【Specification】ランドローバー・レンジローバースポーツP530
■全長×全幅×全高=4946×2047×1820mm
■ホイールベース=2997mm
■トレッド(F:R)=1702/1704mm
■車両重量=2430kg
■エンジン種類=V8DOHC32V+ツインターボ
■排気量=4395cc
■最高出力=530ps(390kW)/4400-6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1800-4600rpm
■燃料タンク容量=90L(プレミアム)
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ダブルウィッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク

ランドローバー公式サイト

ルボラン2023年1月号より転載

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