4気筒特有の軽快なハンドリング
今回の取材に提供いただいた、鮮やかなゾエ・イエロー・メタリックのスパイダーは2000年モデルの、いわゆるフェイズ2。この時期の日本向けモデルは2リッター版ツインスパーク16Vの右ハンドル仕様のみが設定されており、取材車両もそれに相当する1台である。一方、筆者はかつて1997年型GTV3.0の左ハンドル仕様を6年半に亘って所有。その経験も踏まえて、RHD仕様のスパイダー・ツインスパーク16Vのドライブフィールについて、お話しさせていただくことにしたい。
これまでにも語り尽くされた感があるが、ツインスパーク16Vは、4気筒の量産ユニットとしては最も官能性の高いもののひとつと言える。軽やかな回転フィールとエグゾーストサウンド。そして鋭くも素直なレスポンスは、現代の高効率なダウンサイジングターボには絶対に望めない気持ち良さを存分にアピールする。
たしかに至宝とも称されるブッソーネV6と比べてしまうと、トルク感やサウンドでは少々薄味にも感じられるかもしれないが、それは比較の相手が悪い。あらゆる感触が4気筒としては最上である一方で、4気筒ゆえのハナの軽さを生かして、V6版よりは格段にクイックでナチュラルなハンドリングを示してくれる。またRHD仕様のアルファロメオについては以前しばしば取り沙汰された、ブレーキフィールやドライビングポジションへの悪影響なども当時言われたほどには感じられず、実用性を考えれば充分以上にアリ? と思われたのである。
3リッターV6版がクリームの濃厚なジェラートならば、このツインスパーク16V版は爽快ながらも味わい深いグラニータ(シャーベット)。どちらかが優れているというものではなく、あくまで自身の嗜好で選べば良いだろうが、いずれにせよ市場に残された台数は多くない。
【SPECIFICATION】2000 ALFA SPIDER
■全長×全幅×全高:4290×1780×1315mm
■トレッド(F/R):1500/1505mm
■ホイールベース:2540mm
■車両重量:1400kg
■エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC
■総排気量:1969cc
■ボア×ストローク:83.0×91.0mm
■圧縮比:10.0:1
■最高出力:155ps/6400r.p.m.
■最大トルク:19.1kg-m/3500r.p.m.
■変速機:5速M/T
■懸架装置(F/R):マクファーションストラット/マルチリンク
■制動装置(F/R):ベンチレーテッド・ディスク/ディスク
■タイヤ(F&R):205/50R16
■新車当時価格:410万円
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