欧米・日本だけがスポーツカー生産国にあらず。速いクルマに憧れるのは万国共通。スポーツカーの土壌がない国も、共産圏でも、小さなメーカーでもスポーツカーを作っていた。その情熱の一部をとくとご覧あれ。
【写真17枚】知られざる“旧東側&南米”などのマイナースポーツカーをギャラリーで見る
世界のマイナースポーツカー大集合
「スーパーカー」が生まれた時代。クルマを作るからには、やはりスポーツカーを手がけてみたい! と思ったのは、欧米・日本以外の国でも同じ。世界中のカーガイたちは、フェラーリやカウンタックのようなスポーツカーに憧れたに違いない。でもV12エンジンは作れないし、著名なデザイナーもいない。そんな状況でも彼らはお国事情や、各国ごとのクルマの特性を存分に生かして、古くから様々なスポーツカーを生みだしてきた。
ペレストロイカ、ベルリンの壁崩壊、以前の“東側”はむろん社会主義国家だった。その中では、スポーツカーのような突出したクルマは生まれにくい。だが、それでもロシアが強烈なウェッジシェイプのスポーツカーを独自の解釈で生み出していたことは驚きだ。チェコのシュコダは東欧メーカーで本格的にモータースポーツに参戦した数少ないメーカーだったため、「速いクルマへの挑戦」が感じられるスポーツカーを生み出していたことにも注目したい。
南米では、プーマやVW SP1/SP2などVWビートルベースのスポーツカーがいくつもあった。ビートルを用いたモデルはアメリカ・西欧など各国でも盛んに作られ、枚挙にいとまがない。少量生産のため、ベースのビートルが手に入りやすかったという時代背景が感じられて面白い。見た目はスーパーカーだが、パワーはその数分の一しか無かったのが微笑ましいではないか。スポーツカーは男の浪漫。世界各国のそんな「夢たち」を、少しだけ振り返ってみたいと思う。
パンゴリーナ444GT(1980〜/ロシア)
1980年に、ソ連のアレクサンダー・クリギンというデザイナーが作り上げたロシアン・スーパーカー。明らかにカウンタックに触発されたデザインだが、上に開くのはドアだけでなく屋根ごと。ベースがFRセダンのラーダ2101(さらに元はフィアット124)のため、エンジンは前に積まれたまま。しかもエンジンにアクセスするには、ダッシュボードを上に持ち上げる……という、奇怪なアクションを要求した。スポーツワゴン的スタイルでFRのため、後部には広いラゲッジエリアを持つ。ドアミラーは無く、屋根に設置されたペリスコープで後方を確認した。1985年にブルガリアで開催されたEXPOにも出展されたという。なお、現在も保存されている。
シュコダ110スーパースポーツ(1971〜/チェコ)
シュコダ110Lの1.1L直4エンジンをミドに搭載したスポーツカー。1971年に1台のみ製作。ウェッジシェイプのスタイルはなかなか魅力的だが、16個並んだテールランプは、やはりどことなく東側のデザイン。乗降はキャビンの上側を大きく開くことで行う。全高約1.1m、車重約900kgという車体を生かし、73PSながら最高時速180km/hを達成した。1982年にはホラー映画の主役を演じ、黒に塗り替えられるとともにレーシングカーっぽい雰囲気にリスタイルされている。
プーマGTB/GTB S2(1972〜1993/ブラジル)
ブラジルのスポーツカーといえばプーマがあげられる。VWビートルベースのGTで知られるが、GTBはGMブラジルのFR車、シボレー・オパラのシャシーを用い、FRP製のアメリカンクーペ的ボディを載せたGTカーとして1972年に誕生した。1978年に大掛かりな変更を行い、シンプルなスタイルを獲得。S2に進化した。S2のエンジンは4.1L直6 OHV、最高出力は171PS。1980年代後半にはさらにマイチェンしてAMVという名となり、生涯を終えた。
VW SP1/SP2(1972〜1976/ブラジル)
プーマと並んで南米を代表したスポーツカーがVW SP1/SP2で、VWブラジル独自開発車だった。ストラットサスを持つ以前のビートルをベースに、オリジナルの低くスポーティなボディを載せており、まるで往年のFRフェラーリを思わせる美しいリアビューを誇る。1.6Lで標準版たるSP1と、1.7Lにボアアップ&ツインキャブで武装した高性能版のSP2が存在。「高性能」と言っても最高出力は70PS前後しかなく、デザインはとても速そうでも、実際の中身はビートル……というギャップがたまらない。生産台数は約1万台だが、一説では、プーマに勝てなかったとのこと。さらにSP1の台数は100台に満たない。また欧州への輸出もほとんどされなかったという。
■関連記事
- 【知られざるクルマ】Vol.30 世界をまたぐ兄弟車列伝(1)……兄弟が多すぎて“ふたご座” じゃない!? いすゞ・ジェミニの兄弟車「Tカー」とは
- 【知られざるクルマ】Vol.29 マイナー英国車列伝(3)ホンダ・バラードがトライアンフに!?「アクレイム」ほか、ホンダとの兄弟車たち
関連記事
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>