新型BMW X7に早くも海外試乗! ICEを搭載する最後のBMW製フルサイズSUVは、新たなフラッグシップに相応しい完成度

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BMW製フルサイズSUVならぬSAV(スポーツアクティビティビークル)が、既定路線のフェイスリフトを実施した。ただし、写真を見ればお分かりのとおり、その表情は一転してクールでアグレッシブ、従来モデルとは趣を異にしている。では、そのパフォーマンスにも変化はもたらされているのか。生まれ故郷のアメリカ・グリーンビル周辺で走らせてみた。

【写真11枚】クールな面持ちに情熱を秘めた新たなフラッグシップ、新型BMW X7の詳細を写真で見る

この包容力の高さはフルサイズならでは

BMWのLCI(ライフサイクルインパルス)とは、基本骨格を変えずに仕様や装備などをアップデートするフェイスリフトのことを指すが、今回X7のLCIは異例といえるほど濃い内容だ。

まず、フォーアイズ(4眼)デザインと名付けられたヘッドライトユニットは、上部がデイドライビングライト、下部がヘッドライトとなる左右4本の水平スリットで、先行して発表された新型7シリーズと同様にクールな表情を見せる。また、ひと回り大きくなったキドニーグリルはアイコニックグロー、すなわちLED照明付きとなる。一方のリアエンドに大きな変更はなく、車幅いっぱいに伸びたクロームラインの両側に、新意匠となる3Dデザインのコンビランプが採用される程度だ。

試乗車は眩いほどのミネラルホワイトに身を包んだX7 M60iで、全長5.2m、全高2mの巨艦によじ登ると、目前にはダッシュボードの半分以上を占めるカーブドディスプレイが広がる。OSは最新のBMWオペレーティングシステム8で音声入力も可能だが、センターコンソールにはiDriveダイヤルも用意される。

スターターボタンをプッシュすると、最高出力530ps、最大トルク750Nmを発生するM社チューンの4.4L V8ツインターボは瞬時に目覚める。8速ATのプリセレクトはコンソール上のクリスタルスイッチで行ない、後はステアリングパドルで操作するだけだ。走り出してすぐに、これまでのV8にはないブーストパワーを感じるが、これはX7に新採用されたmHEVシステムがもたらすもの。クランクシャフトとトランスミッションの間に挟まれたISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)により、発電だけでなく0.5kWhのリチウムイオン電池から12psと200Nmのパワーを発生、Eターボの役割を果たす。その結果、0→100km/h加速は約2.6トンへ車重が増したにも関わらず4.7秒をキープ、トップスピードは250km/hでリミッターが介入する。

鋭い低・中加速を楽しみながらグリーンビルの市街地を抜けカントリーロードへ入ると、ルートは意外に狭い二車線道路へ導かれる。しかも、法定速度はなんと55マイル(約88km/h)、対向車線からはフルサイズのピックアップトラックが迫り来るが、正確なステアリングと見切りの良いボディ、そして高いドライビングポジションのおかげで、リラックスして駆け抜けることができた。また、スポーツモードを選択しての本格的なワインディング走行では、V8独特の快音を響かせながら、サイズを感じさせないアジリティを発揮。ダイナミックな走りを重視するBMWのDNAは、フルサイズSAVにも間違いなく生きている。

やがてハイウェイへ上がり、クルーズコントロールを70マイル(約112km/h)に設定し、最終目的地であるBMWトレーニングセンターへとのんびり向かう。22インチの大径タイヤを履くにも関わらず、2アクスル可変エアサスペンションが終始快適なライドフィールを提供してくれるから、完全にストレスフリーでいられる。

新型X7は、アメリカのスパータンバーグ工場ですでに生産を開始、米国および欧州では発売がスタートしている。おそらく、ICEを搭載する最後のBMW製フルサイズSAVに要注目だ。

【Specification】BMW X7 M60i xDrive
■全長×全幅×全高=5181×2000×1835mm
■ホイールベース=3105mm
■トレッド(F:R)=1682/1703mm
■車両重量=2600kg
■エンジン種類=V8DOHC32V+ツインターボ
■総排気量=4395cc
■最高出力=530ps/5500-6000rpm
■最大トルク=750Nm/1800-4600rpm
■燃料タンク容量=83L(プレミアム)
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ダブルウィッシュボーン:5リンク
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤ(F&R)=285/45R21
※表中はすべて欧州仕様

BMW公式サイト

フォト:BMW AG ルボラン2022年11月号より転載

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