ボクらのヤングタイマー列伝:第10回『フォルクスワーゲン・ヴァナゴン』形式的にはあの金太郎塗りのタイプ2と同じ! RR駆動フラット4の血脈を継ぐヴァナゴン

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るというこのコーナー。今回は、連載初のフォルクスワーゲンが登場! 1980年代以降のヤングタイマーVWと言えばゴルフ? ポロ? コラード? え、ヴァナゴン!? はい、ヴァナゴンですヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第9回『フェラーリ・モンディアル』の記事はコチラから

1992年まで作っていたのに、形式的にはあの金太郎塗りのタイプ2と同じ! 命脈、長い!

ボクの父親はクルマが好きで、家業の関係もあってさまざまなクルマを乗り継いでいました。思い出深いクルマはいくつもあり、中でも”我が父ながら凄い人だな”と小学生のボクに思わせたのが、フォルクスワーゲン(VW)のタイプ2デリバリーバンでした。ウチにあったのは金太郎塗りで2分割フロントウインドーを持ついわゆる”VWバス”ではなく、リアは折りたたみのシートがあるだけでサイドの窓がない、ホントのバンでした。これに家族4人で乗り込んで初日の出を見に行こうとしたりした(行かなかった理由はいろいろありましたがここでは省略)、という忘れられないクルマです。空冷フラット4の”シャバシャバ”というエンジン音の一風変わったクルマを、さらっとM/Tで乗りこなす父をカッコいいと思ったものです。

もう少し詳しく解説しますと、前述の金太郎塗りは『タイプ2』の『T1』にあたり、ウチにあったバンは『タイプ2』の『T2』、そのレイトモデルになります。ご存知のとおりビートルはタイプ1ですが、VWは後年K70、シロッコ、ゴルフでFFをモノにするまでは、すべてこのタイプ1の派生車種だったので、言うまでもなくタイプ2も空冷フラット4のRR車でした。つまりベイウインドーとも呼ばれるT2も、実際は俗にいう『タイプ2』のガワを変えたモデルなわけですね。そして、T2は1979年にカクカクデザインの『T3』へバトンを渡しています。そう、あの四角いバンです。日本では『カラベル』、『ヴァナゴン』と呼ばれていました。

本国ではT1から始まるバンシリーズを『トランスポルター』と呼びます。T3ももちろんそのシリーズの一員ですが、T1から続いていた乗用モデルに初めてカラベルというサブネームが与えられたのは、T3が最初でした。日本ではヤナセが乗用モデルをカラベルという名前で輸入販売をしていたのですが、1990年にVWの日本法人が立ち上がった際、こちらは北米でのT3の呼び名であるヴァナゴンを使用していたので、ちょっとややこしい時期がありました。VWは1990年にトランスポルターとしてようやくRRレイアウトから脱出してFF車となったT4を発表しましたが、こちらは日本だけヴァナゴンの車名を引き継ぎました(北米ではユーロバンという車名)。つまりとっくにビートル由来のRR乗用車が姿を消していたドイツ製のVWで、1990年代初頭までRR車が存在していたことが驚きなのですが、なんと、実はこのカクカクのT3もタイプ2なのです。整理すると、”タイプ2のT3″ということになります。T3は1992年まで作っていたのに、形式的にはあの金太郎塗りのタイプ2と同じなんです! 命脈、長い! ……って、あれ、感動しているの、ボクだけかしら(笑)。

ちなみにT3、フラット4エンジンは不変ながらもさすがに空冷ではなく、部分水冷→水冷となっています。さらに余談ですが、T3はイギリスではT25と呼ばれていました!

カー・マガジン465号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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