メルセデス風グリルが特徴の立派なコンパクトカー
大型化の一途を辿った1950年代のアメリカ車。その反動からか、欧州製の小型車が販売台数を伸ばしつつあり、独立系(インディペンデント)と呼ばれる中規模メーカーの車種と合わせると、コンパクトカーはビッグ3にとっても無視できぬジャンルとなってきた。そうした状況の中、フォード、GM、クライスラーのビッグ3から登場したコンパクトカーが、フォード・ファルコン、シボレー・コルベア、バリアント(プリマス)の各車である。これらは揃って1960年型でのデビューとなったが、これに先駆け1959年型としてスチュードベーカーがデビューさせたコンパクトカーが、ラークであった。
【画像23枚】味わい深いスチュードベーカー・ラーク・リーガル・コンバーチブルの詳細を見る!
この時点では独立系メーカーは統合を重ねて、コンパクトカーを送り出しているインディペンデントはAMCのみとなっていたが、一方、スチュードベーカーはそれまで大きいサイズの車種のみを手掛けてきた。そのためホイールベース108.5インチ(2756mm)のラークは、スチュードベーカー初のコンパクトと言ってよい。ボディサイズはファルコン等とほぼ同等だが、そのスタイリングはプレーンなボディに丸型2灯ヘッドライトを特徴とした、ひときわシンプルなもの。ウェストラインをクロームのモールディングで取り囲んだ、ほぼフラットデッキといってよい形状だが、フロント中央に大きなグリルを据え付けているので、コルベアのような形にはなっていなかった。
登場初年のラークは2ドアのセダンとハードトップ、4ドアのセダン、そして2ドアのワゴンという4種類のボディ形状を展開、このうちワゴンはホイールベース113インチ(2870mm)となっている。直6エンジン搭載車はラークⅥ、V8搭載モデルはラークⅧとネーミングされていた。ラークの販売は見事成功を収め、スチュードベーカー全体の台数を2倍以上に押し上げたという。翌1960年型では4ドアのワゴンと2ドア・コンバーチブルが加わったが、それ以外の変更は少ない。1961年型では4灯ライトを採用、ボディサイドのモールがより水平に近いものに改められている。また、ワゴンと同じホイールベース113インチのセダンも追加された。
1962年型ではフロントグリルに太いクロームの縁取りを付け、ボディ後半のデザインを変更。それだけではなく、4ドアセダンのホイールベースは全て113インチに移行、2ドア・モデルのそれは109インチ(2769mm)に延長された。この年のラーク・シリーズは6気筒のラーク・シックスとV8のラークV-8に分かれ、それぞれに実用モデルのタクシー(モデル名だがもちろんタクシー用)とヘビー・デューティを用意、一般のカスタマー向けには下からデラックス、リーガル、デイトナという布陣。デイトナはこの年から加わった最上級モデルでバケットシートを装備、2ドアのハードトップとコンバーチブルにのみ設定されていた。
この年、スチュードベーカーのパッセンジャーカーとしてラーク以外に存在していたモデルは、2ドア・ハードトップのグランツーリスモ・ホークのみ。このあたりからスチュードベーカーの窮状は抜き差しならないものとなってきたが、ラークは1964年型で、ボディ前後をよりスクエアな形状に改めるとともに、その名前を捨て、トリムレベルに応じたデイトナ/コマンダー/チャレンジャー等をそれぞれのモデル名に変更。1966年、スチュードベーカーの自動車生産終了とともにそれらの車種は消滅している。
組み立てやすいスナップキット、なれど制作は本格的に!
スチュードベーカー・ラークのモデル化はジョーハンによる1/25スケール・モデルが存在する。同社では、実車初年度の1959年型からプロモーションモデルを手掛けているが、キットとして発売されたのは1962年型のみ。初版(No.5062)は1962年発売で、コンバーチブルのほかにハードトップ(4062)が存在。これらはカスタムパーツがセットされた3 in 1構成だったが、作例に使用した1970年代の再販版(CS-507)では、総部品点数32点の、キャラメルボックスに入ったスナップキットとなっている。
パッケージングはいたってラフで、組み立て説明は箱の側面と裏側に印刷。パーツは裸のまま箱の中に入っているので、使用したキットも随所に破損やキズがあった。今回はそれらの補修を兼ねて若干のグレードアップを行っている。また、スケール表記は1/25となっているものの、ホイールベースを元に計算すると約1/23であり、かなり大きめだ。元々プロモーションモデルとして作られたものであるから、見劣りしないよう大きさが優先されたのであろうか?
さて、このキットはエンジンレスのプロポーションモデルであるので、組み立てはあっという間に終わってしまう。ボディ形状に問題はなく、車高やトレッドもキットのままである。もちろんスナップのままでは不安があり、取り付けが密着せず隙間が空いてしまうこともあるので、取り付け孔を少し拡げておいて、しっかり接着したほうがよい。最も気になるのは、一体成型されているインテリアだ。特に、フロントシートがドア内張りと繋がってしまっている。コンバーチブルゆえよく見えるので、是非とも修正したい箇所だが、そのため室内をほぼ全て作り直すこととなった。
正式なカラーチップなどを確認できなかったこともあり、作例はパッケージイラストを再現する形で仕上げた。ボディカラーはクレオスのC1ホワイト+C65インディブルーに少量のC67パープルを混ぜ、微量のC2ブラックを加えることでトイ的な鮮やかさを抑えている。仕上げはスーパークリアーⅡを吹いてから研ぎ出し。インテリアの塗装にもボディカラーを用い、C181スーパークリアー半光沢を吹き付けた。白い部分はC316ホワイトFS17875にC1ホワイトを加えたものだ。
■関連記事
- あの日本の名車にも影響を与えた美ボディ!「1953年型スチュードベーカー・スターライナー」のAMT製プラモ【モデルカーズ】
- 一発逆転を狙うも爆死!君は知っているか?「1963年型スチュードベーカー・アバンティ」をAMT製プラモで学ぶ【モデルカーズ】
関連記事
DTMのBMWからNASCAR、さらに3輪トラックまで!プラッツ取り扱い海外プラモ、注目の新製品【CARSMEETモデルカー俱楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.15
爆発!的人気のTVドラマ車両がプラモ界も席捲!?その力を最大化したのは…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第38回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.09
屋根が外れる!オーディオルームが見える!!ニチモの超傑作「タウンエース」 名作キット列伝・第4回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.29
可愛い真っ赤な「大人のオモチャ」に激震!?…1978年最速の1台がコレ!!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第37回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.26
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>