開発期間の短いスープラながらなかなかの健闘
1983年から1986年までグループB規定で戦われてきたWRC。1984年にトヨタが投入したセリカ・ツインカムターボ(TA64)は、コンベンショナルな2WDでありながらも、とりわけサファリラリーやアイボリーコーストなどアフリカ・ラウンドでは出れば優勝、といった具合いでめっぽう強かった。1987年にグループA規定に統一されると、トヨタは主なヨーロッパ・ラウンドへの出場を控え、4連勝の掛かったお得意のサファリに、新型スープラを仕立てて参戦してきた。
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しかし、ロングノーズ・ショートデッキの低く構えたスポーツ・クーペであるスープラが、目いっぱい車高を上げられた上に、イケメンマスクのアイコンであるリトラクタブル・ライトも全開状態で固定され、更にその鼻先には武骨なアニマルバンパーと補助灯が組まれ……と、その姿は実に衝撃的であった。クールなスープラのイメージと大きく乖離したその姿には、何か見てはイケナイものを見てしまったような罪悪感を覚えてしまうほどである。
その結果は、カーナンバー4のトルフ車が2台の大柄なアウディ200に続いての3位入賞。残念ながら念願のサファリ4連勝は成し得なかったが、開発期間の短かったスープラとしては、喜ばしいものであったであろう。元々こういったフィールドが得意とは言えない出で立ちのスープラが、真っ赤な砂埃を巻き上げて、ケニアの大地を泥だらけ傷だらけになりながら、ゴールに向かってひた走っている姿を見ていると、「置かれた場所で咲きなさい」という人生の教訓を思い出して、今更ながら頭が下がる思いだ。
ボディは塗り分けをベースに自作デカールのロゴで再現
さて、ここでお見せしているのは、タミヤ1/24プラモデルのスープラ3.0GTターボをベースに、この1987年サファリラリー仕様へと改造したものである。ボディ自体は、リアのナンバーフレーム周りの拡幅以外に大きな改造点はない反面、サファリラリー特有の装備を揃えていくのに苦労した。一番の特徴であるアニマルバンパーは真ちゅう線から自作したが、ボディとの位置関係やフィッティングに注意を払う必要がある。
ホイールはハセガワのスーパーデルタから改造、同ホイールを2個用意し、1個は内側のスポークを残して外周を切り飛ばして、更に傘状になる様に削った。もう1個はアウターのリム部を残し、内側を切除して、こちらはすり鉢状に削り込む。最後にこれらを組み合わせると、実物に近い形状のスピードラインが再現できた。
ボディのカラーリングは塗装で表現し、細かなロゴ類は自作デカールで対応した。内装も市販型とはかなり異なるので、シートをはじめ、ガソリンタンクやロールバーなども全て他キットからの流用や自作で対応した。これらラリー装備にはBEEMAX社のセリカ(TA64)から流用できるものが結構あるので、もし作られる方が居られるなら、当該キットも準備しておくと作業が早いだろう。車高もリフトアップされた状態を表現するが、実車の脳内イメージに倣って、意図的にフロントを少し高めにセッティングし、悪路に立ち向かう姿勢を強調してみた。その他、詳細は工作中の写真に付したキャプションをご参照いただきたい。