”手の届くTYPE R”を実現!
ホンダのTYPE R(タイプR)の歴史を振り返ると、1992年に登場したNSXタイプRが、最初のタイプRとして思い起こされる。徹底した軽量化やエンジン材質の見直し、サスペンション設定の変更などによって、サーキット走行にも対応できる本気度の高い内容を持っていたのが、その特徴であった。
【画像55枚】違和感を見事退治した無限タイプRと、その工程を見る!
当時、ベースとなるNSXの価格が800万円であるのに対し、快適装備を省略してエンジンや足周りにチューニングを受けたタイプRは970万円。通常のNSXに輪をかけて、庶民に手の届く存在ではなかった。ある意味、ホンダのモータースポーツ・イメージを強烈に印象付ける、非現実的なまでのアイコン的存在だったのである。その約3年後となる1995年、タイプR第2弾として、インテグラ(クイント・インテグラから数えて3代目)のクーペおよび4ドア・ハードトップに、タイプRが追加された。
こちらもNSXと同様、ベースであるインテグラにエンジンおよび足周りのチューニング、ボディ補強などを施し、快適装備を省略して軽量化を図っている。エンジンは、リッターあたり100psのB18C(180ps)をベースに、スペシャルパーツを組み込み、手作業でポート研磨を行う(初期型のみ)などのチューンを施し、最高出力は200psへとアップ。SiR(約178万円)に対して45万円UP(223万円)という、こちらはNSXに比較すればずっと現実的な価格であった。これはもちろん、タイプRをより手の届く存在にというホンダの意図であった。
FFのスポーツカーは成立しないという当時の一般常識を覆した、そのキレキレのハンドリングは、メーカー自身N1のレースカーを標榜したものだという。性能面での向上はもちろん、専用ボディ色チャンピオンシップホワイトや、赤地のホンダ・エンブレム、レカロ製の赤いバケットシート、さらには専用エアロパーツ等でベースモデルとの差別化を図り、ホンダファンのみならず当時のクルマ好きを唸らせたのである。
被せ式バンパーを直接取り付け式に変更、細部にもこだわる
このDC2型インテグラ・タイプRのプラモデルはフジミから1/24スケールのものがリリースされており、ここでご覧頂いているのはそれを制作したものだ。フジミのキットは通常のタイプRのほか、『頭文字D』仕様や各種チューナー仕様が製品化されているが、ここで制作したのは、無限のエアロパーツを装着した仕様のキットである。このキットの具体的な内容としては、通常版インテグラ・タイプRに無限製フロントバンパー、サイドステップ、リアスポイラー等のパーツを追加したものだ。
ところがこのフロントバンパーとサイドステップは、純正ボディの当該箇所上に被せるタイプで、そのまま組むと相当に残念なルックスとなってしまう。作例は、この無限製エアロの適正化を第一として、さらに同キットのウィークポイントであるヘッドライト・リフレクターを改修、加えて足周りのグレードアップ(ホイールをタミヤ製S2000付属の無限MF10/17インチに交換)も図っている。
工作のポイントとしては、純正バンパーは切り取って無限バンパーを直付けし、形状のあやふやなサイドステップはプラ板とパテによる自作品に交換。ヘッドライトのリフレクターは、奥行きを表現するためプラ板とアルミテープからそれらしく作って再現。足周りはジャンクパーツからフジミのストラットにタミヤのディスク部を組み合わせ、タミヤのピン式ホイールに対応、といったところである。それらについては、制作工程の写真にキャプションを付したので、じっくりとお読み頂きたい。
作者曰く、車高やホイールの出幅、タイヤの選択等を試行錯誤しながら調整するのは、個人的に好きな作業とのこと。これらがクルマの雰囲気や方向性を左右するので、制作のうちで一番時間をかけたという。最終的には、メーカー純正より少しローダウン、ホイールはインチアップしたがツラを攻め過ぎず、車検対応の範囲内で走行性能の向上を狙った、無限ユーザーらしい正統派のイメージでまとまったのではないだろうか。普段使いと週末のサーキット走行をストレス無く楽しむ――それこそがホンダの提唱する「タイプR」のあるべき姿として、今回の作例に落とし込んでみたとのことなので、完成した作品からそれが伝われば幸いである。
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