懐かしくて新しい生まれ変わった新型Zが登場!
これまでに世界で180万台以上の販売を誇るという、世界中のファンに愛されてきたフェアレディZ。今回、待望の7代目となる新型モデルに試乗する機会を得た。果たして、先進技術がもたらした走りの進化とは!?
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完成度の高い上質なスポーツカー
新型フェアレディZの試乗場所は日産自動車の北海道陸別試験場だった。公道ではないので、全開や最高速など高負荷の状態を試すことできる。だから他の参加者ははじめから全開で走行していたけれど、自分は高速周回路とハンドリング路を繋いだ2km強の最初のラップを、50km/h付近のタウンスピードで淡々と走ってみた。本当によくできたスポーツカーなら、通常域での運転も必ず楽しい。まずはそこから確認することにした。
サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンク。これにモノチューブのダンパーと金属ばねを組み合わせている。モノチューブはキャビテーション(ダンパー内部でガスとオイルが混ざって泡立つ現象)が起こりにくく、低速域の微少入力でもしっかり減衰するため乗り心地に優れる傾向がある。Zの標準装着タイヤは18インチと19インチだが、いずれもこの速度域で快適な乗り心地を示した。
操縦性はドライバーの意図した通りに動き、意図しない動きは絶対にしないというダイレクト感と安心感のあるもの。ターンインでは切り始めたステアリングがふっと止まる位置が伝わってきて、それに従えばあとは保舵するだけ。切り増したり戻したりする場面は一度もなかった。初めて運転するクルマで、ほぼ初めて走る道で、こういうコンタクトはめったにない。この時点でもう、ハンドリングに関してはケチのつけようがないと思った。実際、その後にペースを上げていってステアリング操作が早くなったところで、操舵に対するレスポンスとクルマ側の反応に変化はなく、アンダーステアが強くなってGを抱え込んだまま旋回するようなこともなかった。でも決してナーバスではなく、スッキリと正確な操縦性である。
エンジンは既存のV6ツインターボ。パワーアップを図る常套手段としてターボの大型化が上げられるが、タービン径が大きくなればレスポンスは悪くなる。そこでターボのサイズそのものはいじらず、ターボに速度センサーを設け、限界ギリギリまで回せるようにしたという。リサーキュレーションバルブもZのエンジンのみに追加されている。
ボア×ストロークが同値のスクエアな燃焼室容量も手伝って、このエンジンはとにかくレスポンスよくシュンシュン回る。最大トルクは1600rpmですでに発生しているので低回転域でのパワー不足はなく、パワーデリバリーは高回転まできれいな線形を描く特性である。405㎰/475Nmものパワーがあるので、強力な加速Gを体感できるものの、そこに荒々しさや恐怖感は存在しない。マイルドに力強い加速感だった。
トランスミッションは9速ATと6速MTが用意されている。ATはアップシフト/ダウンシフト共にキレがよくタイミングも絶妙で、個人的にはMTよりもATのほうが好感触だった。ついでに、タイヤサイズは19インチのほうが走る曲がる止まるのすべてにおいてバランスが上手く取れていると思った。
総じて新型Zは、目をつり上げて走らずとも、流して走るだけで十分に楽しめる上質なスポーツカーだった。ボディ骨格は流用だから型式が”34”のままだとかエンジンはスカイライン400Rの流用だとか、そんなことはどうでもいいと思えるくらい完成度は高い。
【Specification】日産フェアレディZ
■全長×全幅×全高=4380×1845×1315mm
■ホイールベース=2550mm
■車両重量=1570kg
■エンジン型式/種類=VR30DTT/V6DOHC24V+ツインターボ
■排気量=2997cc
■最高出力=405ps(298kW)/6400rpm
■最大トルク=475Nm(48.4kg-m)/1600-5600rpm
■燃料タンク容量=62L(プレミアム)
■トランスミッション=6速MT
■サスペンション(F:R)=ダブルウィッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F&R)=245/45R18(9J)
■車両本体価格(税込)=5,241,500円
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