大きく張り出したフェンダーが威圧感満点
初代のホンダ/アキュラNSXは、日本で初めてフェラーリに比肩しうる性能を実現したスポーツカーであった。1989年に発表され、翌1990年に発売されたNSXは2005年に生産終了。モデルチェンジは行われなかったため、2代目NSX待望の声が絶えることはなかったが、その願いはそれから10年少々が経過して叶えられることになった。2代目モデルが2016年の北米自動車ショーで発表され、翌2017年に発売されたのである。
初代NSXではトランクスペースが重視されたため、ミッドシップのスーパースポーツとしてはリアオーバーハングが長かったが、2代目ではリアは短く切り落とされ、スポーツカーとして常識的なイメージとなった。その車体は、アルミ押出材と超高張力鋼管を組み合わせたスペースフレームを核にしており、3.5L V6 DOHCツインターボ(507ps)をリアミッドに搭載。エンジンアシストのモーターに加え、左右前輪に各1基、合計3基のモーターを備えたハイブリッド車となっている。これらモーターを加えたシステム最高出力は581ps。
この2代目NSXをベースにFIA GT3規則に合致させたレース専用車両NSX GT3は、2017年に発表された。GT3ではハイブリッドシステムは禁止されているため、このNSX GT3には電気モーターは搭載されない。エンジンは市販車と同じく3.5L V6ツインターボ、ミッションも同じく6速シーケンシャル、駆動輪は後輪のみとなる。市販車のNSXは2022年末での生産終了がアナウンスされている一方、GT3仕様の最新版NSX GT3 Evo22は2024年までのホモロゲーションを取得している。
さて、ここでお見せしているのは、このNSX GT3の最初のバージョン、それもカーボン地むき出しのテスト車両を再現した1/24スケールのプラモデル完成品である。2代目NSXはタミヤがプラモデル化しているが、市販仕様のみでGT3のキット化はない。この作品はノーマルのNSXをベースにボディ形状を変更、GT3仕様としたものだ。
ただ黒く塗っただけじゃない!ボディ形状を逐一改修
まずボンネット上面のダクトを埋める。裏からプラ板で塞ぎ、表からMr.SSP(瞬間接着パテ)で穴埋めして平らに均した。形状の変更はまずフェンダーから。GT3はワイドなので、ホイールアーチ部にプラ材を貼り付けガイドとし、SSPと光硬化パテで盛り付ける。金ヤスリを使って削り形状を出していき、前面インテークの開口部もやや拡げるようにした。
フェンダー後部のサイドダクトを再現する。プラ素材も試してみたものの、強度を考えて真鍮板を加工しての再現とした。ボンネット中央には大きなダクトを新設、目盛りシールと目盛りプラ板を活用してまず形状と位置を確定する。切込みを入れて下に押し曲げることで、ダクトを開口した。その脇にプラ材で支柱状の部分を取り付けている。リアサイドマーカーの開口部もプラ板で塞ぎ、SSPで埋めておく。
ボディ後半の面構成は市販車と異なる。フェンダーが微妙に外側へ張り出し、サイドインテークが大きく下に長くなっている。パテ盛りやプラ板の貼り付けでは対処不可能なので、切り込みを入れ拡げる形で改修した。まずインテークに繋がるドアのプレスラインに沿って切り込みを入れ、内側に押し込む。さらにリアフェンダー前半は前と下、上ショルダー部にも切れ込みを入れ、外側へ押し広げた。上部にプラ材を挟み込んで固定。フロント同様ホイールアーチにプラ材を貼り付け、SSPを盛って形状を整える。
サイドスカートも形状が変更されているので改修、インテーク下あたりで外側に広がるようにする。リアフェンダー上面にはダクトを新設。目盛りシールで位置出しし、開口のうえプラ板でフィンを再現。リアフードはキットのウィンドウをベースに再現、まずサイドのダクトを埋め、フード脇のパネル(Cピラーの断面部分)をプラ材で追加。目盛りシールを貼ってダクト位置を割り出し、位置をカッターの刃で書き込む。一旦内側を全削除し、ケガいた位置に合わせて横棒を貼り渡していく。リアディフューザーは目盛り付きプラ板で自作。
ドアミラーやリアウィングはNunu製アウディGT3のパーツを流用した。ボディにはカーボンデカールを貼りたくなるところだが、塗装でカーボン感を出す仕上げとした。ベースの黒サフの上にクレオスのグラファイトブラックを、下地の影響を残すよう、ふわっと重ねるように塗装。更にMFH E COLOR カーボンアンダーカラーを、パネルやブロックごとに砂吹きして重ね、トーンをコントロール。意識的に各部で色合いを散らし、各面で異なる表情を見せるようにした。
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