2021年にマイナーチェンジされ、人気をさらに高めたSUVのマカン。今回新たに設定されたグレードのマカンTは2月に予約が開始されていて、待望の日本上陸も迫っている。911や718系に通じる「T」はツーリングを意味し、爽快な走りを追求した魅力あふれる1台だった。
Tの伝統にふさわしい走りの楽しさが持ち味
2021年にポルシェは一昨年の11%増、30万1915台を顧客に向けて出荷、同社の歴史始まって以来の好成績を記録した。この中で大きな役割を果たしたのがミッドサイズSUVマカンで、8万8000台、全体の29%に及んでいる。
このように好調なマカンは2023年からはEV化される予定で、それを前にして昨年からラインナップの見直しが行なわれているが、今回マカンT(ツーリング)が追加された。このニューバリエーションは1968年以来911に用意されている「T(ツーリング)」の伝統を受け継ぐもので、搭載される2L直列4気筒エンジンの最高出力は264ps、最大トルクは400Nmとまったく変わらない。ただし、標準装備のスポーツクロノパッケージによって0→100km/hの加速は6.2秒、最高速度は232km/hに達する。
このモデルの標準装備品は非常に豊富で、エクステリアではマカンTオリジナルのアゲードグレーにペイントされたバンパー、ドアミラー、Tモデル用サイドブレード、これまでマカンS専用だった20インチのダークチタンカラーの軽合金ホイール、ブラックコーティグされた4本出しスポーツテールパイプなどを採用。インテリアでは、ポルシェロゴがエンボスされたヘッドレスト付き8ウェイアジャスタブルスポーツシート、ヒーター付きGTスポーツステアリング、オリジナルレザーパッケージなどが標準となっている。さらに15mmローダウンしたスポーツシャシーとPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)も追加料金なしだ。さらにオプションではエアサス、21インチホイール、LEDマトリックヘッドライト、メタリックカラーなども用意されている。
南仏ニースで開催された試乗会で選んだのは、スチールバネ付きのモデルだった。この方がV6エンジンよりも59kgも軽い4気筒を搭載したマカンTの良さが体感できると思ったからだ。
フェイスリフト後に短くなったシフトレバーを介してニース市街を抜けて北に向かう。やがてモンテカルロラリーのスペシャルステージに使われるチュリニ峠へと到着。そこはクルマがようやく2台がすれ違えるかどうかの狭いワインディングロードだが、全幅1927mmのマカンTはクイックで正確なステアリングによって敏捷に駆け抜ける。ステアリングを切り込んだ時のノーズの動きは鋭く、望んだラインを正確にトレースしていく。上り坂では、確かにV6モデルに比べて踏み込んだときにもうちょっとパワーが欲しいと思うことがある。しかしスロットルペダルをいつもより積極的に踏み込めば、後輪駆動キャラクターのPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント)によりタイトなコーナーでややオーバーステア気味にノーズを内側に向けることができる。ハンドリングは、ハードセッティングのフロントスタビライザーによってコントローラブルで安全、そしてスポーティだ。もちろん下り坂では絶妙なコントロールを可能にするブレーキのおかげで、ラリードライバー気取りでドリフトを楽しむことも可能だ。つまりマカンTはマーケティングの産物ではなかった。この新しいバリエーションは、まさに伝統の「T」にふさわしいキャラクターを持っていたのである。
現行マカンは内燃機関搭載の最終モデルとなるわけで、ファイナルエディションともいえる「マカンT」もすでにポルシェジャパンで予約受注を開始している。その価格はなんと840万円、マカンではこれまで選べなかったオプションも含め、単純計算で124万円ほどお買い得ということになる。マカン購入を考えている人には絶好のチャンス到来だろう。
【Specification】ポルシェ マカンT
■全長×全幅×全高=4726×1927×1606mm
■ホイールベース=2807mm
■トレッド(F:R)=1645:1655mm
■車両重量=1865kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1984cc
■最高出力=265ps(195kW)/5000-6000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1800-4500rpm
■燃料タンク容量=65L(プレミアム)
■トランスミッション=7速PDK
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=265/45R20: 295/40R20
■車両本体価格(税込)=8,400,000円
■問い合わせ=ポルシェジャパン ☎0120-846-911
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