すでに日本でも今年1月からレギュラーモデルの受注が始まっている新型レンジローバーへの試乗がようやく叶った。そのハードウェアは一新、走りの洗練度が一層高められているが最大の見どころはデザイン性にあるとか。実車を目の当たりにしたリポーターの大谷氏に、そう感じさせた理由とは果たして?
力強い”かたまり感”を入念な作り込みで演出
「これが次期型レンジローバーのデザインコンセプトです」
たとえそう説明されても、私はまったく違和感を覚えなかっただろう。新型レンジローバー(の量産モデル)は、それくらいコンセプトが明快なデザインといえる。
その理由は、いくつも挙げることができる。まずはデザインを構成するラインがいずれもシンプルで、途中で折れ曲がったり重なり合ったりすることなく、そのほとんどがフロントエンドからリアエンドまですっきりと伸びきっている点。このため、ボディ全体から力強いソリッド感が伝わってくる。プレスキットには「インゴット(金属のかたまり)から削り出されたかのよう」と表現されているが、まさにそのとおりだ。
こうしたボディ形状を強調するうえで役立っているのが、徹底したフラッシュサーフェス化とシャットラインの処理にある。この結果、ボディ表面の凹凸が一掃され、力強い”かたまり感”が明確に打ち出された。ボディパネル同士のつなぎめであるシャットラインの数を減らすとともに、その間隔を徹底的に狭めたこともソリッド感の強調に役立っており、新型がコンセプトカーのように見える一因となっている。
そのうえで、デザインチームはレンジローバーの伝統ともいえるルーフ、ショルダー、シルの3本ラインをボディサイドに美しく描き出し、かつて「砂漠のロールス・ロイス」と謳われたラグジャリーSUVの正統な後継者であることを表現してみせたのである。
ラインナップが幅広いことも注目点のひとつだ。エンジンは4.4L V8ガソリン、3L直6ガソリン、3L直6ディーゼルの3タイプで、直6ガソリンはマイルドハイブリッド(MHEV)もしくはプラグインハイブリッド(PHEV)が、そして直6ディーゼルにはMHEVが組み合わされる。このうち、日本市場に入ってくるのは、直6ガソリン+MHEVを除く3タイプとなる。
グレードはフラッグシップのオートバイオグラフィーに加えて、HSEとSEをラインナップ。さらに、ハイクオリティな特別装備や幅広いパーソナライゼーションが用意されたSVも設定される。ホイールベースはスタンダード(SWB)とロング(LWB)の2種類で、LWBにはレンジローバー初の3列シートが設定されるほか、SVの4座席版には航空機のファーストクラスを彷彿とさせる豪華な仕様が用意される。
カリフォルニア州ナパ周辺で行なわれた国際試乗会では、V8のオートバイオグラフィーを中心にテストしたが、車内の静粛性が一段と向上した上で、レンジローバーらしい優雅な乗り心地が継承されている点が印象的だった。インテリアのセンスもバツグンで、エクステリアに引けを取らない高いクオリティ感を実現している。
一方、オートバイオグラフィーとは別物のソリッドな足回りが与えられていたのがディーゼルのHSEで、レスポンスの良いディーゼルエンジンとあいまって小気味良い走りが楽しめた。
デザインを中心にクオリティ感を格段に高めた新型レンジローバーは世界的に爆発的な人気を誇っているらしく、日本でも当面は効率的な生産のために受注グレードを絞っている模様。興味をお持ちの方は、是非ともオフィシャルサイトを参照していただきたい。
【Specification】ランドローバー・レンジローバーSV(LWB)
■全長×全幅×全高=5258×2209×1870mm
■ホイールベース=3197mm
■車両重量=2626kg
■最小回転半径=5.98m
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ツインターボ/4395cc
■最高出力=530ps(390kW)/5500~6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5㎏-m)/1800~4600rpm
■燃料タンク量料=90L(プレミアム)
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウィッシュボーン:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F&R)=285/40R23
■車両本体価格(税込)=28,580,000円
■問い合わせ先=ジャガー・ランドローバー・ジャパン ☎0120-18-5568