ファミリーセダンに突如加わったスタイリッシュサルーン
現在はその系譜が途絶えてしまったギャランだが、かつては三菱の重要な主力車種であった。ギャランフォルティスも入れれば9世代にわたるその歴史の中で、3~5代目にあたるモデルは「ギャランΣ(シグマ)」とネーミングされている。このため3代目ギャランは初代ギャランΣでもあるのだが、その次々世代モデル、つまり3代目ギャランΣは、ギャランの歴史の中でも大きな転換点に位置するモデルであった。それは、このモデルにおいて初めて、レイアウトがFRからFFに変わったためである。この3代目Σは1983年に登場、FFのメリットを活かした広い室内空間と、クリーンなルックスが特徴であった。さらに翌’84年には初のボディ形式となる4ドア・ハードトップを加えている。
このハードトップは、それまでのギャランΛ(2ドア・ハードトップ)の後継モデルでもあった。セダンと共通のFFプラットフォームに、4気筒SOHC G63B型エンジンを搭載。トップグレードとなるVRには、DOHC化真っ盛りの当時にあって敢えてシングルカムを採用、しかしながら日本初の可変バルブタイミング機構“シリウスDASH 3×2”が導入されていた。これは口径の異なる吸気バルブを2本使い、低速時には小さいバルブで、高速時にはさらに大径のバルブも駆動して吸入量を増やし、高出力と小燃費を両立するものである。これにインタークーラーターボを組み合わせ200馬力を発生。当時2Lクラスで200馬力を超えていたのは、他にスカイラインのみであった。その大パワーを支える足周りも電子制御サスペンションを採用。このハードトップはセダンのモデルチェンジ(’87年)後も継続生産されたが、’89年にはモデルごと消滅している(翌年デビューして大ヒットとなったディアマンテがその後継車と言えるだろう)。
71マークⅡがΣハードトップに変身!
さて、そんなΣハードトップはおろか、セダンのギャランΣですらプラモデル化はされていないのだが、ここでお見せしているのは1/24スケールの作例だ。これはつまり、作者がどうにかして作り上げたということを意味している。完全なフルスクラッチ(ゼロからプラ板などで作り起こす)ということも考えられなくはないのだが、作者は別車種のキットをベースに加工する方法を選んだ。そこでベースに選ばれたのは、フジミ製のGX71マークⅡである。まずフロントバンパーをボディから切り離し3mmほど前にずらして固定、これを基準に形を作っていく。ボディサイドはプラ板で裏打ちした上でヤスリで削り込んで平らにしていき、ホイールアーチの形状と位置も変更。キャビン側面(ピラー部分)はプラ板で切り出し、流用する前後ガラスパーツ(今回はタミヤ製BMW635に決定)をあてがいながら角度を固定、ルーフを1mmプラ板から切り出し接合した。
インテリアもマークⅡの部品を利用しつつ自作。シートは形状のシンプルな本革仕様とし、マークⅡのものを加工しこれを原型として複製。ダッシュボードはプラ板工作、マークⅡやレパード(アオシマ製F31)のパーツから切り出したディテールなどの組み合わせ、ドア内張りはプラ板から切り抜いたもの。
ボディカラーはトワイライトブルーとアイガーシルバーのツートンをチョイス、これは実車のイメージカラーだったので、広告のビジュアルなどで見覚えのある方も多いだろう。ファミリーカーのイメージが強かったギャランΣに突如加わったスタイリッシュな4ドア・ハードトップ、そのインパクトを思い出して頂ければ幸いだ。
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