スバルファンが熱望する「アウトバック ウィルダネス」の日本展開はアリなのか?

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メディアからも熱い声が!

「日本にも、ウィルダネスが欲しい」。最近、SNSやウェブ上で、よく聞かれるフレーズだ。ウィルダネスとは、スバルがアメリカで展開する新たなるブランド戦略のひとつである。果たして、日本導入はアリなのか、それともナシなのか? スバル関係者らに、ウィルダネスについて詳しく聞いた。

ウィルダネスが最初に登場したのは、スバルの北米法人であるスバル・オブ・アメリカ(SOA)が2021年3月30日に発表した「アウトバック ウィルダネス」だ。最大の特徴は、リフトアップである。全高はベースモデル比で0.8インチ(約20mm)上がり、最低地上高を9.5インチ(241mm)とした。
これにより、アプローチアングルはベースモデルより1.4度大きい20.0度、またデパーチャーアングルは1.9度広がり21.2度となった。低速走行での走破性を確保するため、X-Modeの制御も変更し、時速25マイル(約40km)以下でも敏感に稼働する仕組みとした。エクステリアでも、タイヤハウスに大型の樹脂製ガーニッシュや、フロントとリアのバンパーにブラックを基調としたガーニッシュを配置し、全幅は1.6インチ(40mm)拡大した。タイヤはヨコハマ ジオランダーを履く。ざっくりとした表現をすれば、「レガシィアウトバック」(日本仕様)のX-BREAKをさらにラギッドにして、走破性を上げた仕様だといえる。
そもそも、アメリカでは「アウトバック」(北米仕様)の導入が早かった。日本では2021年10月に発表・発売となった新型「レガシィアウトバック」(日本仕様)だが、「アウトバック」(北米名称)の需要が多いアメリカでは、日本導入の2年以上も前の2019年から発売されており、「アウトバック ウィルダネス」はモデルライフの中での追加グレートという意味合いが強い。
「アウトバック」(北米仕様)では、ベースモデル、プレミアム、リミテッド、ツーリング、OnyxエディションXT、リミテッドXT、ツーリングXTなど、販売台数が多いこともあり多彩なグレード展開をしている。そうした中で、スバルとしては「より真剣なオフロードイメージ」をウィルダネスで訴求するという商品戦略である。

単なるグレードのひとつではない

「アウトバック ウィルダネス」が3月に登場した際には、アメリカのユーザーはもとより、日本のユーザーとしても、ウィルダネスはアウトバックの”ひとつのグレード”をいう見方をしていた。ところが、9月に開催予定だったニューヨークモーターショーで「フォレスター ウィルダネスが出るらしい」という話がネット上で話題となり、「ウィルダネスはスバルの新ブランド」という解釈が日本にも伝わってきた。結局、ニューヨークモーターショーは新型コロナ感染症の再拡大でドタキャンされ、「フォレスター ウィルダネス」はオンライン上での商品公開となった。
現時点(2021年10月中旬)では、スバル・オブ・アメリカのユーザー向けホームページのヴィークル(モデル)ラインナップには、「インプレッサ」「レガシィ」「クロストレック(日本のXV)」「フォレスター」「アウトバック」「アセント(SUV)」「BRZ」「WRX」、そして「STI」「ウィルダネス」という区分けになっている。このように、ウィルダネスは明らかにスバルの新しいブランドなのだ。
では、この流れが日本にも上陸するのだろうか? こうした疑問を持つ自動車関連メディアは多く、2021年10月5日の「レガシィアウトバック」発表・発売のタイミングで開催された、オンライン商品説明会ではウィルダネスに関する質問が相次いだ。これに対して、スバル側の回答は、市場での声は理解しているとした上で、将来の商品についての明確な発言はなかった。
そこで、筆者から「ウィルダネスの開発経緯を教えて欲しい。やはり、スバル・オブ・アメリカからの要求が強かったのか?」と、さらにひと押ししてみた。すると、スバル側は(日本導入に対して)「検討」「乞うご期待」というコメントが出てきたことで、そうした報道を見たスバルファンの間では「ウィルダネスの日本導入時期はいつなのか?」「それまで、購入をちょっと待とうか?」という声も出てきている。

スバル里山スタジオで、ウィルダネスへの思いを馳せる……

オンライン商品説明会の数週間後、スバルが2021年8月に千葉県鴨川市に開設したメディア向け屋外撮影施設「SUBARU里山スタジオ」で実施された、「レガシィアウトバック」オプション装備車の撮影会に参加した。その模様は、別途記事を参照いただきたい。

https://carsmeet.jp/2021/10/20/203966/
その際、スバル関係者と改めて、ウィルダネスの日本導入について意見交換した。現状では、「アウトバック ウィルダネス」も「フォレスター ウィルダネス」もアメリカの製造拠点であるSIA(スバル・オブ・インディアナ・オートモーティブ)での生産であり、日本国内ではウィルダネス向けの部品調達を行う体制にはなっていないという。
また、筆者としては、このSUBARU里山スタジオにて「レガシィアウトバック」の事前撮影会に加えて、改めて今回のオプション装着車として「レガシィアウトバック」を見て、「エクステリアデザインとしては、X-BREAKはかなりウィルダネスっぽい」という感想を持った。むろん、ウィルダネス最大の特徴であるリフトアップ効果の差は、見た目でも大きく、さらに走りの差になることは十分承知している。
その上で、日本のスバルファンやスバル代理店からの”さらなる大きな要望”によって、「レガシィアウトバック ウィルダネス」(日本仕様)や「フォレスター ウィルダネス」(日本仕様)が登場すれば、それはそれで良しとなる。一方で、STIコンプリートカー「S209」のように、ウィルダネスが北米専用ブランドとして限定されてしまう可能性もある。STIの場合、「現状でアメリカでは、STIはモデルのグレードという認識が強く、S209をきっかけにSTIをブランドとして北米で定着させる狙いがある」(平岡泰雄STI社長)との考えがあるなど、日本とアメリカでSTIの立ち位置が違う。
こうした北米市場での、STIとウィルダネスというブランド二本立て戦略が、そのまま日本市場に還元されにくいという事情もある。そうなると、例えば日本ではSTIから「レガシィアウトバック X-BREAK」、「フォレスター X-BREAK」、そして「フォレスター Sport」向けにウィルダネスを意識したような、エクステリアパーツやリフトアップ用サスキットを出すといった流れも考えられるだろう。

いずれにしても、アメリカと日本、異なる市場でスバルのオフロード新ブランド戦略がこれからどう動くのか?
期待を持って、その動向を見守っていきたい。

公式ページ(英語) https://www.subaru.com/

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

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