ラングラーなどの人気モデルも電動化へ!
日本で暮らしているとBEVの本格的な普及はもうしばらく先の話というイメージを持ってしまう。だが世界に目を向ければ、そのアクションは急進的に始まっている。それは日本における上半期の販売で28%増となる7300台以の販売を記録し、好調を維持するジープでも同じだ。
ジープ・レネゲードのPHEVモデルの名称として知られる「4xe」(フォー・バイ・イー)。電動化を示すこのキャッチコピーが、ジープ・ブランドの将来に向け、今後クローズアップされることになりそうだ。
ジープやクライスラー、フィアットを擁するFCAと、プジョーやシトロエン、オペルが主体となったPSAなどが経営統合することで今年1月に誕生したステランティス。同社は7月8日「EV DAY2021」と題したオンライン発表を行い、グループ全体で電動化へ大きく舵を切っていくことを発表した。
傘下に14ものブランドを抱えるステランティスのカルロス・タバレスCEOによれば、同社は電動化やソフトウェアの開発に対し2025年までに3兆9000億円もの投資を行うという。ステランティスはLEV(ロー・エミッション・ビークル=PHEVやBEV等を含む)のマーケットリーダーを目指すことになる。
この発表を受け7月14日、ステランティスの主力のひとつであるジープ・ブランドのクリスチャン・ムニエCEOも、電動化の具体的な展望を発表している。インド・アジア太平洋地域に向けに「ジープ80周年ラウンドテーブル」をオンライン開催。
自らをカーガイと称し、既存のICE搭載のジープを愛しているというムニエCEOだが、それでも自動車世界を巡る昨今の急激な変化、ゼロエミッション化は避けられないと認めている。また、ムニエCEOをはじめとするジープのコア・メンバーは、電動化によって生まれるジープならではの世界観や、既存のスタイルにとらわれない自由度についても言及。
現状の日本ではレネゲード4✕eがジープ唯一の電動化モデルとなっているが、ヨーロッパ市場ではラングラーとコンパスの4✕eモデルも既に導入され人気を集めている。この流れはインド・アジア太平洋地域にも影響を与えるはずであり、2025年までに全てのセグメントのジープに「4✕e」モデルが導入され、全世界で販売される70%のジープが電動化されることになる
ここ10年ほどのジープ・ブランドの世界的な成長は目を見張るものがある。2009年には30万台だった販売台数が、ここ7年はコンスタントに100万台を達成しているのだ。この市場規模の70%があと5年以内に電動化モデルに置き換わるのだから、これは大きな変化といえる。
これらジープの電動化、4✕eの動きを支えるのは既存のモデルをPHEV化したモデルと、先にステランティスが発表した4種類のBEV専用の全く新しいプラットフォーム、そして新開発するという3種類のEDM(電動パワートレイン)である。
またステランティスは急速な電動化へのシフトで供給不足の恐れがあるバッテリーに関しても、ヨーロッパと北米に5つのバッテリー工場の新設を計画している。さらに既存のバッテリーメーカーとの合弁会社も立ち上げることで2030年までに260GWhものバッテリーを確保できる見通しが立っている。
現在のバッテリーは液体の封入したリチウムイオンが主流だが、ステランティスは2026年には次世代バッテリーと言われるソリッドステートバッテリー(全固体バッテリー)の導入も宣言しているのである。