【フロントライン】ニュー911GT3にスタジオで接近遭遇

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スパルタンなルックスは健在

ポルシェの量産モデルでは、サーキットに最も近いところに位置する新型911GT3に遭遇することができた。今回発表された2021年モデルは7世代目、ベースはもちろん992である。

アルカンターラを多用し、シートのフレームにカーボンを用いるなど、コクピットまわりも軽量化が図られている。

開発はポルシェ・モータースポーツ部門と911量産チームが共同で行い、「これまでになかったほどのレーシング・テクノロジーを首尾一貫して量産ストリートバージョンに移行した」と、GTラインナップの開発担当アンドレアス・プロイニンガー氏は説明を始めた。

カーボンファイバー強化プラスチック製のフロントボンネット、ルーフ、リアウイングなどの空力パーツ、レース用特殊ウインドーシールド、さらに軽量化されたPCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)あるいは軽量スポーツ・エキゾーストシステムなどが採用された空車重量は、ワイドになったボディにもかかわらず旧GT3とほぼ同じレベルの1418㎏に抑えられた(6速MT)。またPDKモデルは1435kgと若干重くなっている。

PDKモデルのシフトレバーはMT風のデザインとされた。

ナチュラルアスピレーションエンジンは、最新のGT3カップカーからダイレクトに移植された4L水平対向6気筒で、最高出力510ps、最大トルク470Nmを発生する。カタログデータの最高速度は6速MTが320km/hでPDKが318km/h、0→100km/h加速は3.4秒(PDK)と発表されている。

GT3のレーシングカーと同じ、強烈なダウンフォースを発生するスワンネック式リアウイングの採用がニュー911GT3最大の特徴。

また指標となるニュルブルクリンク北コースでのラップタイムはスタンダード・アスピレーション・スポーツカーとして初めて7分を切ったとのことだ。

センターロック式のホイールも継承されている。

前述のプロイニンガー氏によれば、ニューGT3の最も大きな特徴はスワンネック・タイプのリアウイングという。通常、構造的に考えるとウイングは下から支える方で簡単に強度を得られる。しかし、その支えはダウンフォースの発生に際しては妨げになる。そこで下面に邪魔ものをなくすために白鳥の首のように曲がったステーで上面を固定している。一般走行では効果は薄いが、GT3レースでは効果が証明されており、現在は主流となっている。

ニューGT3のドイツでの価格は19%の付加価値税込みで167518ユーロ(約2140万円)、販売のスタートは5月で、その後、順を追って各国へのデリバリーが始まる。日本での価格や販売時期は現時点では発表されていない。

リポート:キムラ・オフィス ルボラン2021年4月号より転載

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