キャラクターは違ってもMのポテンシャルは隠さず
カブリオレは、ホイールベースとトレッドがクーペと同じだ。サーキットをホンキで攻めるポテンシャルも備えているが、活用する機会は稀なはず。走りのテイストも、いい意味でそれなりだ。
サスペンションの設定はグランクーペよりもさらに快適性を重視している。ダンパーをコンフォートにすると、路面のうねりでは通過時に縦揺れすることもある。それが振動として残らないので、フワつきを覚えるには至らない。
Mハイパフォーマンス ・モデルとしてはラグジュアリーであり、カブリオレだからこその特性といえる。走行中でも50km/h以下なら15秒で作動が完了するソフトトップを開ければ、クーペで気になるタイヤのロードノイズやインパクトノイズが発散され印象としても洗練度が高い。ソフトトップを閉じても、ノイズが室内で響きにくいので静粛性が保たれる。
その一方で、ソフトトップを開けてアクセルを踏み込むとカブリオレはハイパフォーマンスぶりも知らしめる。4.4LのV型8気筒エンジンのサウンドが周囲の空気を振動させ、強烈な刺激が全身で浴びるように伝わるからだ。
サウンドの演出が可能なMスポーツ・エキゾースト・システムをスポーツにすると、中回転域からいかにも爆発エネルギーが大きそうなビートを刻む。サウンドの輪郭もクーペやグランクーペよりもリアルなので、低回転域から中回転域にかけて加速するだけでM8らしい走りの臨場感が増す。そしてアクセルを踏み続ければ、高回転域でビートが連続し、コォーンという突き抜けるようなサウンドとともに625psが炸裂する。
クーペなら、ダンパーとエンジンの設定をスポーツにしてダイレクトな応答性を楽しみたい。ステアリング操作とアクセル操作が同じ感覚でリンクするので、走りのリズムも自ずとアップテンポになってくる。それだけに、公道でレブリミットの7200rpmまで引っ張る機会は高速道路の本線合流などに限られるが、そこまでブン回さなくてもMハイパフォーマンス・モデルにふさわしい刺激が実感できる。
グランクーペなら、ハイパフォーマンスを走りの余裕として活用し、4ドアならではのくつろぎ感がすべての乗員に伝わるに違いない。いかがだろうか、研究の成果により同じM8でもキャラクターの違いが明らかになった。
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