欧州自動車工業会が見通しを発表。1000万台を切る可能性も
新型コロナウイルスは欧州経済にも大きな影響をおよぼした。ドイツ、フランスなど経済力の強い国での徹底したロックダウン(都市封鎖)により欧州全体の新車販売台数も激減。昨年の9月から年末にかけて持ち直しつつあった新車需要が、コロナ禍により一気にマイナスへと転換を余儀なくされた。メーカーの業績に関しても1970年代のオイルショックや2008年のリーマンショックを上回る悪化が見込まれている。
欧州メーカーの団体である欧州自動車工業会(ACEA)は、6月半ばには2020年1~5月の欧州における新車販売台数(乗用車)が前年同期比41.5%減まで減ったと発表していたが、その後、2020年の販売予測を公表。年間で約300万台の需要が失われ、減少率は25%と4分の3程度まで減少するという厳しい見方を示している。
欧州の2019年の新車販売台数はEU(欧州連合)脱退が決まった英国も含めて1532万台だったが、2020年は英国を除くと1000万台を切る可能性もあるとしている。オイルショック時の数字は明確ではないが、リーマンショック時の1割程度の落ち込み、その後2013年頃まで続いた低迷を上回ると見ている。ロックダウンの影響は数カ月で弱まり、その後は回復に向かうものの今年前半までは影響が残り、自動車メーカーを始め、サプライヤーなど関連業種の低迷が続くと予想。EUおよび各国政府の支援が必要だと訴えている。
ドイツ自動車工業会(VDA)も1~6月のドイツ国内の乗用車販売台数が前年同期比35%減少し、これは1990年の東西ドイツ統一以来、上半期では最低の数字としている。今後、回復に向かうとしても通年では国内生産が25%減、輸出は27%減と予測しており、試練のときを過ごさなければならない。
そんな状況ではあるものの、VDAは2021年9月に初めてミュンヘンで開催されるIAA(国際オートショー)の開催を宣言。2021年のジュネーブ・ショーは早々と中止を宣言したが、ドイツメーカーは最大規模のフォルクスワーゲンを始め電動化やデジタル化への投資を進めており、モーターショー開催を含め明るい材料も少なくないとしている。
ドイツメーカーが欧州経済の復活を担う構図は今後さらに強まることになりそうだ。
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