エンジンサウンドの演出はBMWが得意とするところ
ジェントルな走りでは物足りないと感じたら、エンジン制御をスポーツにすればいい。過剰にならない範囲でアクセル操作に対する応答性が速やかになり、中回転域にかけてトルクが盛り上がる。最大トルクの750Nmを発揮するのは1800rpmからだが、体感的にはそのあたりから加速が勢いづいてくるのだ。
Mスポーツ・エキゾースト・システムのバルブ制御も連携し、サウンドの輪郭がクッキリしてくる。だが、爆発力の大きさを印象づける鼓動を刻むもののボリュームが増すわけではない。さらに、アクセルを踏み続けると鼓動の密度が増し連続音となる。こうしたドラマチックともいえるサウンドの演出は、Mモデルに限らずBMWが得意とするところだ。
そして、カァーンという感じの高周波サウンドを響かせながらレブリミットの7200rpmに到達。7000rpmでパワーは頭打ちになるが、加速の勢いは持続したままなのでエンジンの吹け上がりにタコメーターの針が追いついていないのかもしれない。
こうしたエンジン特性は、体感としても伝わってくる。コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込むと、とくにクーペの場合は腰のすぐ後に後輪があるだけに体ごと前に押し出されるようなトラクションを実感しやすい。M8は、前後トルク配分を連続可変制御するMxドライブを組み合わせる。十分なトラクションが得られる場面ではフロントへのトルク配分は最小限となるので、4WDでもFR感覚の走りが楽しめる。
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