ボルボがスピードリミッターを本格導入

田畑修
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2020/07/18 09:00

最高速度180km/hの制限機能を搭載。 制限速度を任意設定できるケア・キーも導入

2019年3月に最高速180km/hの速度リミッターと、その上限を任意に変更できる「ケア・キー」の開発を宣言したボルボ・カーズが、発表から約1年を経ていよいよその本格導入に踏み切る。高速での移動が求められる欧州では、中級セダンクラスでも200km/h巡航が可能なのが当たり前で、それが高速域での高いスタビリティ性能を培ってきた。一方で日本では1980年代から自主規制により量産車には180km/hの速度リミッターが設定されてきた。ボルボも今までは当然ながら高速移動が可能なクルマ作りを進めてきたわけだが、安全性の確保を考えるとクルマ側の最高速制限は欠かせない、となったのが1年前の宣言だった。
この時点でボルボは米国のNHTSA(米運輸省高速道路安全局)のデータとして、死亡事故の25%が速度超過によるものだというデータを提示していた。日本でも警察庁が速度超過を事故原因の主因としているが、一方で速度自体は事故に直接つながるものではないという意見も少なくない。たしかに最高速さえ抑えれば死亡事故が減ると断言するのは難しく、たとえ40km/hでも死亡事故が起こることを考えると、最高速制限の説得力は後退してしまうだろう。

だがボルボはそれでも最高速制限を導入し、さらに任意に最高速度を設定できるケア・キーの導入に踏み切ることで、事故を減らす方向へと舵を切ることになった。ケア・キーは2021年から導入するとしていたが、ボルボは最高速制限に関しても 「今後のボルボ車すべて」 とうたっており、それにより一部のユーザーがボルボを選ぶのをやめたとしても、人命を優先するために速度制限を導入するとしている。
最高速を180km/h以下に制限しても死亡事故は起きるであろうし、この考え方を否定する論調も減らないだろう。だがひとつの実験として、ボルボのやり方が欧州や米国での死亡事故削減に貢献するのかどうか、確認できる意味は大きい。世界をマーケットとするボルボの方向性が時代を変えることになるのか。しっかり見極めていきたい。

ルボラン2020年8月号より転載

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