CLA250は穏やかで快適
2シリーズグランクーペのライバルがメルセデス・ベンツのCLAであることは明らかである。というよりも、CLAの好調ぶりを横目で見ながらBMWが2シリーズにグランクーペを追加したという表現のほうがより正確だろう。日本仕様のCLAはガソリンが2タイプ、ディーゼルが1タイプの布陣で、今回はガソリンのトップモデルであるCLA250。駆動形式は4MATICのみとなる。
M235iと比べると、CLA250の操縦性は基本的に安定志向で旋回中の姿勢は盤石だ。ターンインからの過渡領域でも、ステアリング操作以上の動きは一切見せない。ドライバーの入力にあくまでも忠実で予想外の動きや反応もなし。だからといってスポーティな走りにまったく不向きというわけではなく、ステアリングを早く切ればきちんとそれに追従してくれる。ターンインが俊敏とか旋回速度が速いことがスポーティとするならばM235iのほうがスポーティだけれど、CLA250でも中の上くらいのスポーティさは味わえる。
動力性能にはパワースペック通りの差があるものの、それはスロットルペダルを深く踏む込んだときの瞬発力や速度上昇の伸びなどで感じられる程度。日常的な使い方をする範囲では圧倒的違いはあまり感じられない。静粛性の差も動力性能に似ている。エンジンに負荷をかけたときはどちらもそれなりに勇ましいエンジン音を奏でるが、それ以外の場面ではどちらも平穏である。
M235iには“Mスポーツサスペンション”が組み込まれているので、乗り心地はおおむねCLA250のほうが快適だ。Mスポーツサスペンションはノーマルよりも車高が10mm低くなっていて、基本的にはばね上の動きを抑えるセッティングになっている。減衰が速くダンパーのストローク量もたっぷりではないから、身体が上下に小刻みに揺すられる場面が多い。対するCLA250は路面からの入力の大半をサスペンションが処理してくれる。減衰もM235iよりゆっくりなので、全体的な乗り心地は穏やかだ。
ボディサイズはCLA250のほうが長く幅広いものの、室内のスペースは同じようなものだった。それでも後席はM235iのほうが少し開放感がある。トランク容量はM235i(430L)よりも、リアのオーバーハングが長いCLA250(460L)ほうが広かった。
東京など中心に生活し、普段はほとんどひとりかふたり乗車だが、たまに後席を使う機会がある人にとって、この2台のようなコンパクト4ドアクーペは使い勝手がいいかもしれない。スポーティなM235iと、スポーティ“ライク”なCLA250は、キャラクターもそれぞれ明確だ。ただ、今回のグレードはいずれもちょっと高すぎる。乗り出しで400万円くらいが妥当ではないだろうか。
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