【比較試乗】「レクサスLS vs BMW 7シリーズ vs メルセデス・ベンツSクラス」現行LSが成し遂げたフラッグシップの功績。ブランドのプレゼンスとアイデンティティとは?

走りのいいクルマは動力源を選ばない

そんな観点からドイツ勢2台に乗ってみると、ちょっと面白いことが見えてきた。どうやらこの2台、長きに渡り共に意識し合いつつ先頭を走ってきたからだろうか、「それってアチラの専売特許じゃなかった?」と思うようなテイストが乗っていて幾つか見つかった。たとえば745eラグジュアリーはこの3台のなかで最も滑らかに走ってくれる。翻ってS560eロングのアクセルペダルをぐんと踏み込んだときのエンジンサウンドは意外にも勇ましい(LSほどじゃないが)。おそらく様々な性能や機能の完成度を上げながら顧客満足度を高めていくなかで、残された数少ない項目が相手の得意科目であった、ということなのだろう。最後になって隣の芝が青く見える理由を研究し取り込んだ、ということなのかも知れない。決して日和ったわけではなく、試乗をすればそれぞれが理想とする境地に近づこうとした工夫のありかをはっきりと体感できた。

現時点で最も素晴らしいSクラスはハイブリッドモデルや高性能なAMGモデルでもなく、6気筒ディーゼルターボを積んだ400dだと筆者は考える。とはいえ“乗せていただいている”という実にメルセデスらしいドライブフィールは560eを含め全てのSクラスにおいて極まっている。
さすがに元来が重量級モデルだけあってEクラス以下に見受けられるようなハイブリッドグレードと内燃機関グレードとの明確なライド感覚の違いが560eにはほぼない。重量差の影響が相対的に少ないからだ。エンジンとモーターの制御も極めてスムーズ。そしてV型らしくかなりの唸りをあげての加速には意外な迫力もあった。
そういうクルマゆえ運転支援をフルに効かせたときのライド感覚もまた極上だ。自ら積極的にドライブしても“乗せていただいている感”が強いクルマである。支援されたならいっそう心地よい。なるほど未来に繋がっていると思う。
745eの完成度はさらに高かった。運転好きの筆者にとって3台のなかでは最も性に合った。何が素晴らしかったかと言って、EV走行時の走りの上質感だ。重量を感じさせることなくキビキビとしたハンドリングをみせるうえ、車体がドライバーの意思を汲んで実に素直に動く。もちろんストレート6の出番がやってきても結合はそれと感じさせないほどスムーズで最後まで走りに統一感があった。ドライバビリティの高さは実にBMWらしい。ブランドにユニークな価値を高いレベルで提供する。そして、走りのいいクルマは動力源を選ばない。
LS500hはハイブリッドではあるけれどもプラグインではない。レクサスこそハイブリッドモデルの充実を図って欲しいが、ドイツ勢の矢継ぎ早な攻勢と比べればモノ足りなく思えてしまい残念だ。
乗り心地も随分と改善されたが、それでも低速域で感じる無粋なショックの連続で、ドイツ勢に比べてはっきりと見劣った。加えてどちらかといえばBMW寄りのドライバーズカーを目指したフシもあるが、ステアリングフィールには精緻さとスムーズさが欠けている。
デザイン、コネクテッド、そして個性ある上質なライド感。高級ブランドに今後より一層求められる最も大事な三要素である。立ち止まったら、そこで負けだと思う。

フォト=岡村昌宏/M.Okamura(CROSSOVER) ルボラン2020年6月号より転載

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