【国内試乗】「アウディ A1スポーツバック」生まれ変わったエントリーモデル

借り出した試乗車は35TSFIアドバンスト(365万円)。ポロRラインと同じ新開発の1.5L直4ターボを積む日本仕様A1スポーツバックの第一弾で、当面、Sライン(391万円)との二本立てになる。

ファーストタッチの印象は「小さな高級車」である。気筒休止システムの入った直噴ユニットは、旧型1.4Lターボより静かだ。遮音も向上したように思う。215/45R17のタイヤサイズはスポーツサスペンションのSラインと同じだが、バネ下がバタつくことはなく、乗り心地はしっとりしている。ひとことで言えば、滑らかなコンパクトカーである。

ダッシュボードはドライバーを囲むような形状に変わった。エッジのきいたカクカクした内装も新しい。試乗車はオプションのバーチャルコクピットで、新築感はいっそう高い。けれども、車内の幅や高さは変わっていないから、コンパクト感は従来通りである。ステアリングは36.5cmと小径で、運転操作もコンパクトだ。視点も低い。地面も近い。道路を走ることが好きなら、好きな道路面に少しでも近いほうがいい。こういう“低いクルマ”に乗るとつくづくそう思う。

150psのパワーは以前と同じ。パンチは1.4Lのほうがあったかもしれないが、新型プラットフォームのおかげで車重は20kg軽い。いちばん楽しかったのはワインディングロードである。7段DSGをMTモードに入れてレッドゾーンまで回すと、ターボの伸びが気持ちいい。大入力を与えても足まわりのフトコロは深く、馬鹿力がないかわり、自在感を堪能できる。2020年以降、1.3気筒ターボを始め、エンジンバリエーションは増えていくだろうが、ベースがこれなら、まだ煙も立っていない次期S1にも期待したいところである。
最後に試乗車の仕様書を見たら、オプション込みで468万円。お値段だけがコンパクトでないのは、アウディだから仕方ないか。

先代モデルから95mm長くなったホイールベースにより、上位セグメントに迫る居住空間。荷室容量も65L拡大し335Lとなった。

フォト=柳田由人/Y.Yanagida ルボラン2020年2月号より転載

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