2シリーズクーペはもっともコンパクトなFR
今年8月末に、新型1シリーズが日本にも導入された。これを機に、現行2シリーズクーペはBMWのラインナップの中で大変貴重な存在となった。新型1シリーズがFFの駆動形式へ転換したことにより、2シリーズクーペはもっともコンパクトなFRとなったからである。そうなると次期型は1シリーズに習ってFF可されるかもしれないという懸念が生まれるが、どうやら次期型もFRを踏襲する模様である。
BMWはFFでもFRでも4WDでもRRでもミッドシップでも、BMWらしい操縦性の確立に成功しているし、今後電動化がさらに進むとそもそも“駆動形式”なんてものがあまり意味を持たなくなる可能性も否定できない。それでも私たちの身体に染みついたFRの乗り味とそれを味わいたいという欲望に、BMWはしばらくは応えてくれるだろう。何より彼らもまた、基本的にはFRをこよなく愛している人種だからだ。
2シリーズクーペはカブリオレとM2の計3モデルで展開している。今回の企画に該当するのは550万円の“220iクーペMスポーツ”のみだが、車両手配の都合上、やむを得ずM2のお出ましとなってしまった。正直に言えばM2はまったくの別物で、価格も900万円台なのだけれど、2シリーズクーペの素性のよさはあらためて確認できた。
全長4500mm以下、全幅1800mm以下、車重1.5トン以下(220iクーペの場合)という車両スペックは、取り回しの良さだけでなく、FRの操縦性を堪能するには最適な条件であると同時に、最近ではこれを満たすクルマが極端に減ってしまったのも事実である。FRというだけでなく、スペックや成り立ち自体もいまや貴重な存在となって2シリーズクーペは、ピュアなスポーティドライビングが楽しめる1台でもあるのだ。
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