乗り心地は異次元感覚ともいえるフラットライド
プレディクティブアクティブサスペンションの最大の特徴は、受動的ではなく能動的に制御できる点にある。アクティブサスを含む通常のサスペンションは、路面からの入力があった後にばねとダンパーで振動を吸収するが、これだと最初の入力に対する応答はどうしても一瞬遅れてしまう。プレディクティブアクティブサスペンションは、レーザースキャナーやカメラを用いて前方の路面状況をモニターして、あらかじめ最適な接地圧を算定し、減衰力を整えるので、一発目の入力からばね上の動きを可能な限りフラットな状態に保てるのだ。
プレディクティブアクティブサスペンションの作動状況はモニターでも確認できる。フロントバンパー前面の赤いエリア表示は路面をモニターしていることを、4輪のダンパー部分の赤い表示はプレディクティブアクティブサスペンションの制御状況をそれぞれ表している。取扱説明書には夜間など条件によって作動しない場合もあると記されていたが、都内の夜の一般道や首都高では途切れることなく作動し続けた。
その乗り心地は異次元感覚ともいえる、まさしくフラットライドだった。ばね下の4輪が超高速で適切によく動いて路面からの入力を吸収し、ばね上のボディの動きを極小に抑え込んでいる。ドライブモードで「ショーファー」を選択すると“カーブチルト機能が”オンになり、コーナリング中にボディのイン側をわずかに下げて水平に近い旋回姿勢を作り上げる。当初、ドライバーは通常のコーナリングフォームと異なることにやや戸惑うかもしれないが、後席のパッセンジャーにとっては至極快適な乗り心地に違いない。
レーザースキャナーを含む多くのセンサーを使った運転支援システムと48V電源は、今後相次いで導入されていくであろう次世代の技術である。このふたつが揃うことで可能になった“ロードセンシング式フルアクティブサスペンション”をいち早く導入した技術力こそ、いまのアウディの真骨頂といえるだろう。
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