何はともあれ早起きは三文の徳!
いつ、どこで発生するか予想がなかなかつかない雲海。ただし、ひとつだけ確かに言えることがある。それは早起きのチャンスを逃すと出会うのは難しいこと。まずは早起きすることが雲海ウォッチングの必須条件だ。
まさに一期一会、同じ風景には二度と出会えない
「雲海」とは雲を高いところから見下ろした時、その上面が海のように広がって見える状態をいう。英語でも“sea of clouds”。まさしく「雲の海」である。
飛行機の窓や富士山頂のような高い場所からはいつでも見られる雲海だが、ふつうに町で暮らしている限りはまずお目にかかれない。ところが、さまざまな気象条件が重なり合うと、クルマで峠道を走ったり、長目のいい高台に上ったりするだけで、それはそれは見事な雲海と出会えるのである。
今回紹介するのは、こういうクルマで気軽に尋ねられる雲海のルートやスポットである。
ところで、気象の世界における「雲」とは、発生する高度に関わらず(それどころか地球以外の惑星も含めて!)、大気中にかたまって浮かぶ水滴、もしくは、氷の粒のことをいう。海岸に押し寄せる海霧も、棚田に漂い朝靄も、雲の一形態であり、それが海のように見えればすべて雲海と呼んで差し支えないのだ。
このように、ひとくちに雲海と言っても、そのタイプはいろいろあるのだが、雲海の発生状況には共通点がある。まず発生しやすいのは夜明けから早朝の時間帯。そして、太陽が昇って地表が暖まり、風が吹き始めるとたちまち姿を消してしまうこと。「雲散霧消」という言葉があるが、まさにその通りで雲海の命は非常に短いのだ。
そのため雲海と出会うには早起きは必須となる。せっかく旅行に来たのだから、のんびり朝飯を食べて……をしたい人は雲海ウォッチャーには不向きなのである。
さて今回は、それぞれのルートやスポットで雲海に出会える可能性を星印の数で示してある。その目安は次のとおりだ。
・★★★:週に2~3回以上
・★★ :週に1~2回程度
・★ :月に2~3回程度
ただし、3つ星が付いているからといって、3日連続で通えば必ず雲海と出会えるというものではもちろんない。
筆者の経験で言うと、北海道の知床峠や三国峠は10回以上走っているが、雲海と出会えたのはどちらも1回のみ。一方、熊野山中のツエノ峰には2回しか行ったことがないのに、2回とも見事な雲海と出会えた。ある意味、雲海が出るか出ないかは運次第、お天気の神様の気まぐれともえいえる。
だからこそ、出会えた時の感動も大きいのである。
文:佐々木 節/撮影:平島 格
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