ポルシェ356B/カレラ2の記載もあるポルシェ356Bのカタログ【自動車型録美術館】第25回

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ポルシェ356B

ポルシェ好きの方、お待たせしました。本稿も25回を数え、ようやくポルシェです。その間にフェラーリは4種類を紹介しています。まずはその差を生じさせた背景から。

ポルシェとして最初にとりあげるカタログを何にしようか、かなり迷いました。おぼろげに356とは考えていましたが、356のカタログにも種類があります。356は初期にこそ立派なカタログが用意されているものの、356Bや356Cなると、比較的ページ数の少ないものが多くなります。356Bで今回のカタログのように20ページ近いものは珍しいと思い、とりあげることにしました。更に、当カタログにはカレラ2の記載もあります。カレラ2には単独のリーフレットがあって、そちらはオークション等にも時折出品されています。今回のカタログの見所のひとつは、後からわざわざ手作業でページを追加してカレラ2を紹介している点です。

ポルシェとフェラーリ

フェラーリが自らの名を冠したクルマをつくり始めたのが1947年。一方、ポルシェの最初のクルマが登場したのは1948年です。この一事からも、両社には似通ったところがあるように思います。それぞれ、個人のファミリーネームを戴くスポーツカーメーカーなのですが、実は、大きく異なっている点もあります。

そのひとつは戦争との関わり方。ポルシェでまず思い出されるのは、フェルディナント・ポルシェが総統にKdfのモデルを説明している写真。そして、フェリー・ポルシェが総統を隣に乗せて運転している写真。ポルシェ砲塔、などを持ち出すまでもなく、ポルシェにはこのような歴史があります。

フェラーリですが、ファシズムの台頭により、ファッション化するアルファロメオに居心地の悪さを感じ退社。エンツォ・フェラーリのこのような姿勢は、やはり、そのクルマにも現れている気がしてなりません。

文明のポルシェ・文化のフェラーリ

私的見解ですが、ポルシェは文明の象徴です。あくことなき機能の追求。最新のポルシェは昨日のものより優れている。これは文明の姿です。対するフェラーリ。機能もさりながら官能を大切にしている。新しいバイオリンが古いものより良いとは限らない、これは文化の法則です。

やはり356にはビートルとの血縁が強く感じられます

当コラムの第7回でフェラーリ250LMのカタログをとりあげました。ポルシェではたまたま917のカタログが手許にありますので、959と併せ、いずれご紹介したいと考えています。また、冒頭でふれたごく初期の356のカタログは、写真ではなくイラストが多用され見応え充分。そちらも、折を見てとりあげる予定です。ポルシェのカタログが大判で立派になるのは1972年前後のこと、今後の自動車型録美術館をどうぞおたのしみに。

●サイズ(縦×横)205mm×293mm●全18ページ

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン477号(2018年3月号)より転載

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