全域で実用的なトルクを発揮するISG
両システムに共通するのは、エンジン始動時に使うスターターを大型化して、走行時にモーターとして駆動力をアシストする点(=マイルドハイブリッド)と、1kWhのリチウムイオン電池を搭載した48Vの電気システムを併用している点にある。補器類でのエネルギー損失を減らすだけでなく、モーターによる駆動力の上乗せまで狙っているのである。
S450 EXCLUCIVE
ちなみに、あえてベルト駆動を残したBSGをISGとは別にわざわざ開発した主な理由は、ISGよりも構造がシンプルなBSGであれば、いざとなれば既存のエンジンに後付けできるからだ。BSGを搭載したユニットが“電動化”として認められれば、今後その発動が示唆されている「内燃機の販売禁止」の対象にならない可能性もある。もしもそこまで見据えた戦略だとしたら、やっぱり「さすがメルセデス」である。
ISGは新開発の直列6気筒エンジン(M256型)と組み合わされ、ターボと電動スーパーチャージャの両方を備える。そもそも直6は排気量の割にトルクが細めの傾向にある。そこでスタート時にはエンジンとATの間に置かれたモーター、低回転域ではスーパーチャージャ、そして中高速回転域ではターボを使うことにより、全域でのトルクを太らせることに成功している。直6らしいスムーズな回転フィールを残しつつ、実用的なトルクがいつでも手に入るというわけだ。
BSGは直列4気筒+ターボに組み合わされる。こちらはスーパーチャージャがないので、モーターとターボの守備範囲とバトンタッチを上手に制御することで、扱いやすいユニットに仕立てている。ISGもBSGも、モーターによる駆動力アシストは強く意識させられない。それでも、通常の直4や直6よりは明らかにパワフルで燃費もいい。内燃機特有のエンジンフィールも、これならまだもう少し楽しめそうである。
ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)
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