二輪車の公道試験は国内初。ACC、衝突予知警報、死角検知などを高速道路でテスト
ちょっとした接触でも重大事故となりがちな二輪車こそ先進安全機能(ADAS=運転支援機能)を、と以前から言われてきたが、ここにきて自動車サプライヤー最大手のボッシュが日本国内で二輪車用ADASの実証実験を開始。すでに四輪車では軽自動車も含めて実用化されているADASだけに、二輪車とはいえ一歩出遅れている感じも否めないが、これで普及に弾みがつけば、一般道や高速道路で併走することの多い四輪車にとっても朗報だろう。
すでに今年3月から東京都、神奈川県、栃木県の高速道路で開始された実証実験では、一定の車間距離で追従走行が可能なACC(アダプティブクルーズコントロール)、衝突予知警報、死角検知を搭載した二輪車を走行させている。日本特有の狭く、曲がりくねった高速道路は欧州などより条件が厳しく、より詳細な実証が必要とされるが、レーダーを使ったシステムによる的確な運転支援を目指している。
2020年にはドゥカティとKTMの二輪車にこのボッシュのシステムが搭載されることになるが、日本でも二輪車事故は少なくなく、また、ここにきてリターンライダーと呼ばれる中高年ライダーが増えていることもあり、早期の搭載が望まれる。ホンダなども二輪車用自動ブレーキの開発を進めているようだが、四輪と違ってライダーの意図しないブレーキングが行われると、シートベルト等で保持されていない人間が放り出される恐れがあるなど、より危険性が増すという指摘も少なくない。
そうした二輪特有の要素を考えると衝突被害軽減ブレーキの早期導入は難しそうだが、前述のACCを発展させることで危険のない自動減速を行うなど、安全性を高めていくことは可能だろう。ボッシュによると日本の路上における二輪車ライダーの死亡事故のリスクは四輪ドライバーの13倍も高く、一方でこうした二輪車用ADAS搭載により二輪車事故の7件に1件は防ぐことができると試算している。レーダーや制御機器などを搭載するスペースが限られる二輪車だが、日本の二輪メーカーとのコラボも含め、そのあたりをボッシュがどうクリアしてくるのかも興味深いが、何はともあれ、いち早い実用化を望みたい。
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