改良型は最新のデジタルコックピットを採用
さて走りはと言えば、変更箇所は特にアナウンスされておらず、実際に走らせても目に見える違いは感じられない。それでも、V型8気筒4Lツインターボエンジンの低回転域から湧き上がるトルクと鋭いレスポンスに、トランスアクスルレイアウトの7速DCTの組み合わせによる動力性能は相変わらず刺激的のひと言だ。
ベーシックなクーペのAMG GTは、優れたライドコンフォートと適度な軽快感のバランスが上々。AMG GT Sのフットワークはシャープな一方、やや落ち着いた感じに乏しく、また乗り心地も快適とは言い難いと感じた。これも従来と同様だ。そして個人的に惹かれたのがAMG GT Cコンバーチブル。ワイドトレッド+後輪操舵でコーナリングは迫力があるし、乗り心地も引き締まってはいるが悪くないのである。
アロー形状のポジショニングライトとウインカーに3つのリフレクターのハイ/ロービームにLEDを採用。明るくクリアな視界を確保sする。
もう1台、最注目の存在がAMG GT R PROだ。先に登場したGT Rと同スペックとなる最高出力585ps、最大トルク700Nmを発揮するエンジンを搭載し、CFRP製のエアロパーツやルーフ、鍛造ホイールにロールケージ、そして調整式サスペンションなどを備えたサーキットスペックのモデルで、ホッケンハイムでの全開走行では、さながらレーシングマシンを操っているかのような緊張感と高揚感に浸らせてくれた。
この新型AMG GTはすでに日本でも発表済みである。AMG GT R PROについては限定20台の導入となるので、興味を持たれた方は決断、お早めに。
新型には、高精細12.3インチのコックピットディスプレイと10.25インチのマルチファンクションディスプレイをセンターコンソールに標準装備。このコックピットディスプレイは、AMG独自の「クラシック」「スポーツ」「スーパースポーツ」の3種類の中から設定することができる。
リポート:島下泰久/Y.Shimashita フォト:メルセデス・ベンツ日本/Mercedes-Benz Japan ル・ボラン2019年6月号より転載