4月6日から発売されるステルヴィオのディーゼルユニット搭載モデルは、結論から申し上げるなら、かなり好印象だった。搭載するエンジンはボア×ストロークがφ80.0×99.0mmの2142ccで、アルファのディーゼル初のアルミブロックを採用している。燃料供給はもちろんコモンレール式で、FCAグループお得意のマルチジェットII。とり立てて世界初を謳うような技術は資料に刻まれてはいないが、開発を牽引してきたパオロ・パロッティ氏によれば、“これまでに培ってきた様々な技術的要素をさらに突き詰めてバランスよく組み合わせたもの”だという。そう聞くと新鮮味に欠けるようだが、このエンジン、何とリッターあたり100psに迫る210ps/3500rpmの最高出力と470Nm/1750rpmの最大トルクという、かなり強力なアウトプットを発揮しているのだ。クラス最強のレベルである。
エンジンを始動すると、当然ながらディーゼルの音だ。が、それもアイドリング付近だけ。しかもカラカラ音がほとんどなく、少しも耳障りに感じない。巡航時などではロードノイズの方が大きいかと思えるほど静かだが、回転を上げるに従ってディーゼルっぽさはさらに希薄になり、次第に野太く力強いサウンドへと変わっていく。
けれど回すとディーゼルらしさが薄らぐのはサウンドだけ。その性格はディーゼルターボそのもの、というかその長所を膨らませたかのようなものだった。何せ走りはじめた直後、わずか1250rpmで300Nm、1750rpmで470Nmという強大なトルクが得られるのだ。その底力が噴出するドーン! という加速力には思わずニヤリとさせられる。もちろんガソリンエンジンと違って鋭いのは3800rpmぐらいまでだが、8速ATが巧みにギアを繋いでくれて、なおかつターボラグも全く感じられないから、加速時のフィールは望外に伸びやかで、痛快といえるぐらいに気持ちいい。しかも手に入るスピードはだいぶ速い部類に入る。エンジンの自重が155kgと凄まじく軽く、異例なことにガソリンエンジンと10㎏しか変わらないから、ステルヴィオの最大の美点であるハンドリングのよさ、曲がる気持ちよさは全く損なわれていない。何から何まで、まさしくアルファ・ロメオのあるべき姿じゃないか……。
しかもシリーズで最も安価な617万円という価格設定だ。乗れば解る。これは相当に悩ましい。
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