エンスージアスト目線で開発
──海外市場に出荷しているリプレイス用タイヤの販売状況は、ライバル勢と較べていかがですか?
【政友】地域によって様々ですね。やはり欧州ブランドは、地元でのネームバリューが高いです。ただ、日本はもちろんロシアやASEAN諸国での「YOKOHAMA」「ADVAN」のブランド力はなかなかのものですよ(笑)。
──ポルシェの主力サプライヤーになっていることも凄いと思いますが、そうした実績もADVANのブランドバリュー向上を後押しする、ひとつの要素になりそうですね。
【政友】ポルシェは間違いなく大切なビジネスパートナーです。けれど、ブランドの価値とか納入実績の向上とか、そういうことの前に、新車だけじゃなくて、ポルシェに乗ってサーキット走行を楽しんだりヒストリックモデルを大切に維持して乗っていたりしている、ポルシェにとって大切なカスタマーも横浜ゴムのお客様と捉えてキチンとした製品やサービスを提供したい、という考えが基本にあります。それはメルセデスAMGやBMW Mに対しても同じ考えを持っています。
──そういえばヒストリックカーレース用のタイヤもラインアップしていますね。素晴らしいと思います。
【政友】元は日産のTSサニー系向けに作ったものですが、昔のバイアスからラジアルにというリクエストに応えた製品で、様々なタイプを国内外で使っていただいてます。特に英国のロータスなどはお付き合いが長いこともあって、YOKOHAMAはクラシックにも力を注いでるというイメージを持っていただけていると思います。
──そういうところも含めて、横浜ゴムには個性的なエンジニアやスタッフが多いのかもしれませんね。
【政友】クルマが大好きなエンスーが社内に多いのは確かですね(笑)。走るのが大好きという開発者もいます。たとえそれが趣味の範囲であるとしても、クルマ好きのユーザーがどういったタイヤを求めているのかというポイントをクルマ好きの目線で考える人間が多いのは間違いないです。開発陣だけじゃなくてセールススタッフにも多いのです。これは自動車メーカーでも同じなんでしょうけど。
──ヨーロッパの子供たちはモータースポーツに触れる機会が多いから、クルマ好きの英才教育を受けているようなものですよね。フランスやイタリアなどでは地元のタイヤブランドが好まれるのでしょうけど、そういった歴史を持ったマーケットに割って入るのはとても大変なんじゃないですか?
【政友】それは日本の自動車メーカーも苦労しているところかと思いますが、幸いにも横浜ゴムはサーキットでのレースやスポーツ走行からアプローチしていきましたから、欧州市場でも何となく独特で個性的なイメージを持っていただけてるのかな、と思ってます。新車の純正装着タイヤで初めてYOKOHAMAを履いたというユーザーも多いでしょう。ブランドの構築には歴史の掛け算が必要だと認識していますから、モータースポーツをはじめとするユーザーとのコミュニケーションを継続していくことが大切だと考えています。
──最後に、ADVAN Sport V105に興味をお持ちのユーザーにメッセージをお願いします。
【政友】ADVAN Sportはよくできたタイヤだと思います。欧州ブランドのタイヤにこだわりを持ち続けているお客様も、騙されたと思って勇気を出して履いてみて欲しいですね。騙したりはしませんので(笑)。